満月の夜に

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「なんとなく、それまでもどこかで生きていたことはわかる。それだけしかわからない」 そもそも感情が無いのか。 「あとは、自分が月の子だって事と名前だけ」 これまで深く関わった人間はいたのだろうか。 その時彼女は、寂しかったのだろうか。 どんな気持ちだったのだろう。 「出会った人の事とか、どうやってそれまで過ごしたのかは忘れる。」 淡々と話す少女に、ただなんとも言えない気持ちがぐるぐるしている。 「なんのためにいるのか、わからない。」 なんて、哀しい。 「ただ、生まれて消えていくだけ」 そう言って言葉を切った少女は、夜空に浮かぶ満月をぼぅっと見つめていた。 満月の夜の不思議な出会い。
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