0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんとなく、それまでもどこかで生きていたことはわかる。それだけしかわからない」
そもそも感情が無いのか。
「あとは、自分が月の子だって事と名前だけ」
これまで深く関わった人間はいたのだろうか。
その時彼女は、寂しかったのだろうか。
どんな気持ちだったのだろう。
「出会った人の事とか、どうやってそれまで過ごしたのかは忘れる。」
淡々と話す少女に、ただなんとも言えない気持ちがぐるぐるしている。
「なんのためにいるのか、わからない。」
なんて、哀しい。
「ただ、生まれて消えていくだけ」
そう言って言葉を切った少女は、夜空に浮かぶ満月をぼぅっと見つめていた。
満月の夜の不思議な出会い。
最初のコメントを投稿しよう!