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おとうと
幼い頃
動物がほしくて、母に 可愛い 犬か猫を
お願いしたが
「家は アパートだから、飼えないの・・」
と、お椀の洗い物をしながら
素っ気なく 駄目と言いわれ続けていた。
仕方が無いことを 何度も、
お願いするものだから
僕の しつこさに、母が苛立っているのを
思い出す。
ある日 又、
雑貨を 買いに、ホームセンターへ。
そこには
犬猫はもちろん、インコや魚
いろいろ いるものだから…
やはり、僕は ほしくなる。
その場所で、母に繋がれた手を
強くひかれて
行かれないように、立ち止まる。
何度目か、分からない その行動に
「じゃあ、金魚でも かえば・・」
と、
母が 根負けた
5匹で300円、オレンジ黄色で
指先位の大きさの金魚を 、飼うことに。
そして、あっという間に
とても小さな水槽と、砂利、 水草 、餌。
一式揃えてくれた。
「…金魚なんて、ほしくない…」
本音を言えない。5才の僕・・
スピード購入で、 有無を言わさず
しぶしぶ納得させられた。
本当は、可愛い 犬や猫がよかった・・・
兄弟がいない 僕の、弟か妹みたいに
一緒に遊びたい と
密かに楽しみにしていた事が
「…金魚じゃ 一緒に遊べない…」
そんな、嫉みをもってしまった。
金魚達は
キッチンの出窓 左端側に。
曇りガラスで 日差しも程よく
母の
管理のしやすさで そこに置かれた。
僕は
水質管理できるわけでもなく、
可愛がることも無く。ただ 日に1度
母の機嫌をみては、パラパラと
水面に餌をまいた
折りたたみの低い椅子を
わざわざ
「ヨイショ…」なんて母の口癖を真似て
キッチン出窓まで、持って来ては
一応 やっていますよ…と、見せつける。
母は
何も言わず、ただ 仕方なく
金魚達の 世話をしてくれた。
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