チョコレート売り場の三人の男

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 体型だけではなくて顔付きも又、『甘いもの(スイーツ)』とは無縁だと思われる厳しくも険しい顔立ちだった。  整えられてはいるが吊り上がった眉と、その下には切れ長の鋭い眼差しが在る。 鼻筋は細く長く通り、その下の唇は上下共に薄かった。 生チョコレートの『銘酒セレクション五種類全部、一箱ずつ』に舌鼓を打つような口元、唇には星合にはまるっきり思えなかった。  あまりにもジロジロと見ていたから、星合は気が付かれるかとハラハラとした。 しかし、それは全くの杞憂、――すなわち取り越し苦労で済んだ。
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