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星合海の場合 提供される側の貴方 1
星合が柳と出会ったのは、とある紅茶専門店のティールームでだった。
その店ではそれこそ何度もなんども茶葉を買い求めていたが、未だにティールームを利用したことがなかった。
本当は三段仕立てのティースタンドに盛り付けられたスコーンや一口大のケーキ、サンドイッチなどを丸いポットで淹れた紅茶と共に味わうアフタヌーンティーを楽しんでみたかったが、――それが出来なかった。
ただ、ひたすらに恥ずかしかったのだ。
ティールームに憩い集っている客のほとんどは女性だった。
しかも、お一人様はほぼいなかった。
そんな中で、男の自分がたった独りでアフタヌーンティーに舌鼓を打つことなど絶対に無理だ!と星合は決め込んでいた。
最初から全くあきらめていた。
柳はそんな星合の思い込みをほんの一瞬で、ものの見事にかき消してしまった。
いつものように茶葉のみを買い求めた星合はつい習慣で、ティールームを覗いてみた。
その瞬間、周りの景色が光景がガラリと変わった。
まるっきり見えなくなってしまったのだ。
窓際の二人席で唯独りきり、アフタヌーンティーを楽しんでいる柳以外の全ての人が、ものが――。
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