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順調に進まなかった、というのも、家川がまとめを行うころになってようやく参加したのだ。おいおい、ここまで来たら休めよなどという文句は、家川のカメラがオンになって静まり返った。
人の形をしていない。
形だけではない。色もところどころおかしくて、煙のようなヘドロのような、おどろおどろしい姿をしている。目鼻口は何とか判別できるから、それがかえって恐ろしい。
皆の怯えで固まった顔を見て、家川はあぁ……、と頭を掻く。
「……、あ、これウケないっ、すね。すいません」
家川はカメラをオフにした。
家川だけが映っていない画面の中で、形式的なまとめだけ行って、誰も退出することも言葉を出すこともできず、気まずい時間が流れた。
「あはは、家川先輩、どうしたんですか」
いつものように明るい雪丑の声が、若干ぴしゃりとした冷たさを持つ。カメラが合ってないんですかねと笑ってはいるが、ほのかに家川に対する怒りがにじんでいる。家川のごめんという声が小さく聞こえる。
「ね、皆さん帰りましょ! 僕このあと用事あるんですよ!」
雪丑のあとに俺も、私もと声が続き、お疲れ様の言葉でとうとう会議は終わりになった。
予定よりも5分遅い終わりだった。
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