突然の告白

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「それでは、二次会に行くメンバーは、駅前の何時ものカラオケに予約を入れてあるからねー!」 砂本さんが飲み屋からばらばらと出てきた部内のメンバーに言って回っている。おおよそまとまっている集団だけど、それぞれ話が盛り上がっていて、砂本さんの話を聞いていない人もいる。 「さあ、此処は公道だからね。あんまり留まってると、往来の邪魔になるよー」 移動を促す幹事の砂本さんに会釈をして千秋はその場を離れる。会社のメンバーの影が小さくなったところで漸く息が出来た。 駅前は二次会に行く人が通るから、ちょっと離れたところでコーヒーブレイク。千秋は何時もウーロン茶だったから酔わないけど、お酒の匂いでもちょっと酔っ払った気分になるので、こうやってその気持ちを冷ましてから帰るのが何時ものパターンだった。 カウンター席でアイスカフェオレを啜る。目の前の道も駅前へ続く道だから、金曜日と言うこともあってみんな晴れやかな顔で道を歩いている。そういう華やかな金魚たちの行方を追っては次の金魚たちをまた見て、を繰り返していたら、ぽん、と肩を叩かれた。 「!」 こんなところで誰が、と思ったら、砂本さんが其処に居た。トレイにマグカップが乗っている。えっ? 二次会に行ったんじゃなかったの? 千秋が驚いて何も言えないでいると、砂本さんが、隣良い? と聞いてきた。声は出なかったけど頷くことで返事をする。砂本さんがよいしょ、とスツールに腰掛けた。千秋は急に砂本が現れた驚きにまだ順応できないでいた。 コーヒーを口に含んで、砂本さんがふふ、と微笑(わら)った。
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