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夜空
私たちってきっと何かが違ったよ
それだろうね?僕にもそんな節が見られた。謝るよ。
そう言う事を期待してる訳じゃないのよ?
わかっているって。僕だって自分の正当性なんか、今更なんの価値もないって、わかってるし。
空が綺麗ね?
うん、綺麗だ。
何が不満だったの?
今別に不満はないさ。僕はただ、君よりもこうしてものづくりしている方が好きなんだ。
それは、、、悲しいわ…
いや、君には迷惑かけないよ。僕はこうやってまた、名曲を生み出すんだろ?
そう言う事じゃなくて
いや、悪かった。僕はただ、本当に仙人?(苦笑い)みたいな静かな処にいたいだけなんだ。
私がその妨害をしているとでも?
それは聞かないでくれよ。オレはただ、音楽を作りたいだけなんだ。
何が不満なの?貴方は私のおかげで今もそうして生きられるの。
ごめん、そんなに他意はないよ。本当にごめん。
そう言って彼は、愛用のグランドピアノから離れる。私は1人取り残された様にポツンといる自分が惨めでならなかった。彼のために生きてきたつもりだった。だけど、彼からあんな風に言われてしまって、悲しいと言うか、悔しいと言うか、いつしかお互いの立場が逆転してしまったかの様な錯覚を覚えた。
私達は表面上は良い夫婦をしている。けれど、多分そう、自分が悪い。彼はきっと、一人で何か大きな事を昔みたいにやり遂げたいのだ、私はそうとりあえずは思おうとした。けれど、止めどない涙が溢れて仕方なかった。
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