文学賞に挑戦するまでの話

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小説書きを目指している割に、 私自身はあまり小説を読む人間ではありませんでした。 実は医者って、 医療行為よりも、文字を読んだり書いたりする仕事が、 かなり大量にあるんです。 そんな中で、趣味として中々読書には辿り着きませんでした。 その代わり、 私にとってフィクションを楽しむ娯楽が、 もっぱらテレビドラマだったのです。 忙しい中、 毎週決まった曜日の決まった時間をなんとか確保して、 ドキドキしながら、想像の世界につかる。 最高の楽しみです。 好きなドラマは沢山ありましたが、 2018年に、特に私の心を特に揺さぶった、二本のドラマがありました。 アンナチュラルと義母と娘のブルースです。 特に義母と娘のブルースに関しては、 こんな突拍子もない設定で、最後はきっちり収まるの? なんて、第一話を見て心配になったものですが、期待をはるかに超えるエンディングとなり、素敵な感動をもらいました。 そして、心が温まる感動と共に、もう一つの感情がわきおこります。 自分も創造してみたい! それは、羨望のような、嫉妬のような不思議な感情でした。 それにしても、変な思考回路です。 綺麗な家を見て、 よし、自分も建築士を目指すぞ! とは思う人は稀だし 美味しい牛肉を食べて、 畜産の道に進もう! なんて思う人も、相当稀だと思います。 でも、多分今小説を書いている人たちは きっと同じような感動と経験をして 筆を取ったのだろうな、なんて考えると、 中々感慨深いですね。 さて、 医者として窮屈感を感じていた中、 先の二つのドラマは、 とうとう私に、創造の世界への一歩を踏み出させる決心をさせたのです。 やってみたいと思ったことには、 まず挑戦するのが自身のモットーでしたので、 私はその年に小説を書くことを決めました。 そして、やるからには目標を明確に打ち立てます。 小説家になって、自分の小説を商品化する! かくして私は、小説家への道を歩む決意をします。 しかしそれは、やはり皆さんと同じく、中々険しいものでした。
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