右も左も分からない中……

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右も左も分からない中……

小説家になるぞ! と決意はしたものの、 本当に何も知らないところからのスタート。 周囲にも小説家を目指している医師など、 1人もおりません。 検索すると、 どうやら小説文学賞で大賞に選ばれてデビューするのが、 王道であるらしい……。 当時は、文学賞の種類もよくわかっておらず、 すぐに検索にかかる有名どころの文学賞は、 応募数が1000を超えるものばかり。 さらに、小説家志望さん達のネット掲示板やブログを拝見しても、 小説家デビューへの道は茨の道だ! という話が多く、 前向きな情報は、ほとんど得られなかった事を思い出します。 正直、いきなり目の前に大きな壁が立ちはだかった気分でした。 ライバル多すぎです。 そのライバル達は、幼い頃から小説に慣れ親しみ、 さらに自ら考えた新しい世界を書こうという、 強い決意を持った方々です。 そんな人達の作品が大量に投稿される中、 今年から突然小説を書きたいなんて言い出した若輩者が、 競争を勝ち抜いていけるはずなどない。 速攻で諦めようかと思いました。 しかし、 敵前逃亡するのも、なんとも情けない話です。 せめて、 もう少しアドバイスを貰ってから決めうようとした私は、 以前実用書を出版した時の、担当編集者さんを頼ります。 「小説家デビューするにはどうすれば良いですか? ちなみに、文学系の編集さんのツテとかありますか?」 さらっとツテの話をぶっこむあたり、 中々の下心の見えっぷりです。 しかし編集者さんからは、 「文学賞からのデビューが王道かつ主道だと思う。 それに最近、出版業界も厳しくて、 はっきりいって出版まで至るには結構な壁があると思います」 やはり厳しいご返答。 ちなみに、ツテの件……。 実は、出版業界の分野間交流ってあまりない世界らしく、 その方には、文芸系の知り合いはいらっしゃらなかったのです。 かくして、 ツテがあればデビューの近道かも! なんていう、非常に浅はかで、 よこしまな私の考えは、 あえなく爆沈したのでありました。 さて、 どう考えても、 文芸の道は、厳しいらしい。 しかし、 何もやらずに終わるのは一番もったいない。 そう思いました。 私の好きな歌手さんの好きな言葉。 「何かをやり始める時に迷うのは当然だが、 今、この瞬間から始めるのが 一番長く挑戦できるのだ」 そう。 後悔するなら、やったほうがいい。 仮にすごく面白い世界だったら、 今始めるのが、一番長く楽しめわけだ。 やろう! それに一応、 まだ他にもいくつかツテがあるし……、 やはり、よこしまな心が抜けきれません。 所詮、さもしい人間なのです、私は。 はい。 しかし、 他のツテをあたろうとしていた私は、 ふと気づきました。 プレゼン資料もないのにアドバイスを求めても、 相手も困らないか? ってことに……。 最初から気づいておけよ。 そんな言葉が、 各所から飛んできそうですが、 鈍感な私も、ようやく理解しました。 げんに、逆の立場で想像すると、 どう考えても困ります。 「私、〇〇に挑戦したいです! どうすればいいですか?」 って聞かれても、 「うん。 まずはとにかく頑張れ」 としか、 言いようがないですね。 まるで、 商品も無いのにセールスする、 変な営業マンそのものです。 怪しすぎます。 私だったら、そんな人は門前払いです。 ちなみにこれ、 知り合いだと、 尚更困りますね。 産後に、 ママ友に矯正ブラの勧誘を仕掛ける やばい人です。 あ、これ 実話です。 将来、幼稚園とかで 一定数あらわれますので、 皆様、是非御用心を……。 困りますよね? 知り合いからの、変な勧誘。 正直反応に困るのが、 まともな人間というものです。 あ、 だからああいうビジネスが 上手に成立するのか。 話がそれそうですね。 さて、 辿り着いた結論は……。 まずは1編、長編小説を書く! 当たり前のようですが、結局これが一番の近道です。 急がば回れ。 しかしその回り道は、 なんと半年かかりました。 小説を書いたことがないので、 それも当然ですよね。
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