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20代後半の湊は、若い教師らしく教育熱心で、爽やかなルックスに加え、誰にでも分け隔てなく接する人柄や温和でユーモラスな性格が受けて、生徒たちにも大人気である。
とりわけ女生徒からの人気は凄まじく、彼に好意を抱いている者も少なくなかった。
葛葉ナギもまた、そんな生徒の一人であり、もちろん親友のアキは、彼女の淡い恋心に気付いていた。
「葛葉の自殺の原因は未だにわかっていない。それに付いて皆色々と想う事があるだろう。
そんな君らに何を伝えればいいのか、先生もまだ答が見つからない。
しかし一つだけ確実に言えることは、彼女の死は決して君たちのせいではない、ということた。
何故なら、君たちに他人の人生を変えたり背負ったり出来る力は、まだ無いからです。
自分が何かをしていれば、彼女は死ななかった、などと思うことは、ある意味では傲慢です。
私を含め、人は全知にはなれない。
他人の痛みも苦しみも、全てを理解する事など、誰にも出来はしないのです。
そういう意味では、人は孤独で悲しい存在なのかもしれないね・・・」
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