0人が本棚に入れています
本棚に追加
ケース1
その日はバケツをひっくり返したような雨が降っていた。
朝から嫌な空気が蔓延り何か嫌なことが起きそうな予感がしたが、僕は気にすることなく職場に自転車で向かった。
朝の7時半頃にセンターに着いた時、まだ誰も来ていなかったので僕は自販機でコーヒーを買ってしばらく駐輪場にいたのだ。
すると駐車場の方から、傘をさして作業着を着た人が一人こちらに近づいてくる姿が目に入った。
僕は視線をその人の後ろに向けると見たことがない車が止まっていたことから、昨日来た若い女の子の新人さんかなと思い、ここの前を通ったら事務所にいっしょに行こうと思ったことを覚えている。
来たばかりだとパソコンを使って出退勤の仕方もわからないだろうし、それに新人さんは実は僕もすごく気になっていたのも事実。
すごく美人でとても人当たりのいい人だったからだ。
仲良くなれたらな~なんて思って僕は少しドキドキしながらそこで待っていると、いつの間にか傘を持った人物は僕の目の前まで近づいていた。
その時気がついた、新人の新しい女の子ではなかったのだ。
そこにいたのは例のあの人だった。
最初のコメントを投稿しよう!