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ケース2
そう言えばこんなこともあった。
とても暑い日が続いていた去年のこと。
梅雨も終わり、本格的な夏が始まろうとしていたある日の夕方。
僕はいつものようにその日の出荷作業が終わると、退勤してある女の子を待っていた時の事だ。
「あ! お疲れ様です!」
「あれ? もう帰ったのかと思いましたよ。こんなところでいったい何してるんですか?」
「実はずっと君に渡したい物があって待ってたんだ」
「え?」
その女の子は隣のセンターから数日前に異動してきた女の子で、とても人当たりがよく、とても真面目な子だった。
「これ!」と言って、僕はその子にプレゼントを渡す。
「それどうしたんですか?」
「君、今日誕生日だろ? だから君を祝いたくて」
僕は照れながら、頭をかくと、
「あ…ありがとう」
「じゃあ! また明日ね!」
僕はそう言って、その女の子に手を振った。
その女の子も嬉しそうに手を振り返してくれる姿を見届けると、駐輪場まで走って行った。
恥ずかしかったのもある。
そう。僕は初めて女の子にプレゼントを渡したのだ。
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