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28歳。独身の私。 仕事で家に帰るも玄関で迎えに来てくれるのはきれいな奥さんではなく、効果のなくなった芳香剤としまい忘れている靴の散らばり。 疲れているから片付ける気力もわきません。芳香剤も買い替える運動量もありません。 「明日買いに行こう!」と思うにも朝起きれば仕事のことばっか考えて芳香剤のことなんか脳みその隅に置いていったしても電子タバコの使い終わったフィルターのように 「ポイっと、」と捨てちまう。 まぁ、ネット通販でもいいんだけどね。 あー、きれいな奥さんがいたらなー。 「ただいまー、いやー今日も疲れたよー」 「あ、あなたお帰り、芳香剤切れていたから買っておいたわよ あと、今日も晩御飯はカレーよ、お風呂いまから洗うから食べたら入ってね」 「ありがとう」 いやー、なんて頼もしい私の嫁。しかも顔がきれいテレビに出ているそこら辺の女優よりも綺麗でかわいいわ、 ぐへへへ  って変態か俺は。 ―妄想終了― はぁ、今日も風呂に入って、コンビニ弁当でも買ってくるか。 全日本の社会人が望んでいる。土曜日の朝を迎えた。 いつもより2時間遅く起きて、テレビの番組を漁る 少し気になる特集をやっていた。 「若者で流行なオンライン合コンに密着!」 それはそれは、オンライン授業やオンラインで仕事をする環境が支流になってきた世の中でそれならオンラインを通じて男女で飲み会を開こうではないかーということ。 専用のアプリも発売されている。 いわゆる、出会い系マッチングアプリのグループバージョンっということです。 私は早速そのアプリを購入しようとストアを開く 「800円!!有料だし、中途半端な額だな、まぁ、いいや」 これで運命的な出会いができるものなら、800円なんてお安いものだ! インストール開始。 私がこのアプリで恐ろしいことが起きることはまだ知らなかった。。 地元の友達2人を誘い、このアプリを紹介して、後日合コンをすることを決めた。 LINEにて 私:二人はどういう人がタイプなの?                                  僕はショート系の小さい女の子かな :M                     俺は黒上ロングだね!       ;R 私:適当に漁ってみたけどこの人たちでどう?   写真二枚                     おお!いいね           ;M                     問題ないぜ!           :R 私:えーと、俺は、、 こんな昔の親友と会話することは実に何年ぶりだろう。 こんな感じに好きな女のタイプとか、最近なんのおかずで抜いたこととか。女子がいるにもかかわらず教室内で笑い声出しながら盛り上がっていたよな。 今思えば、ほんとにガキみたいなことしたよ。。 あの時が懐かしいな。     戻りたい。。 私は懐かしい思い出を頭の中で想像した。楽しい時間はあっという間に過ぎ 今、孤独による哀愁が頭の中で瞬時に流れ出た。 「今日はもう寝よう。」 残りの本数が少ないラッキーストライクを一本、根元まで吸い込む。 思いタールが口の中に数秒ため込んで、部屋の天井に向けて吐き出す。 吐いた息は部屋中を苦い空気に変えた、 げほ、げほ さすがに密閉だとむせるな、窓を少し開けて喚起するようにした。 一本目が吸い終わった。今日はなんだかもう一本吸いたくなった気分に満ちた。 「一日一本って決めてるのに。。」 私はもう一本箱から取り出し、燃料がギリギリのライターで火をつけた。 先ほどと同じく、天井に向かって吐き出す。 宙を舞う煙、さっきよりも弱弱しいな。 ―当日― 「約束」のお時間が迫ってきた。 オンラインで直接顔を顔とで話すわけではないのに、なんでこんなに緊張しているのか。 そういえば、私は異性と話すことがあまり上手ではなかった。 昔からよく女の子には嫌な視線を向けられたままだったな。 なんせ、教室内で下ネタが中心の会話しかしなかった3人組だったのだから。 とほほ。。 近所に幼馴染という雄一の希望もなかった。 最近異性と話したことは、職場の後輩に 「先輩――、この後ちょっと外せない用事があるんですよ。 良かったらこの書類半分だけでもいいのでやってもらいませんか。お礼は後で必ずしますので、お願いします!」 という、外せない用事というものはどうせ、彼氏の誕生日とか異性にかかわることだろう。 「全く、ゆとり世代は仕事に対しての意識が全くないな。」 と内心思いつつも、大した仕事量でもないので引き受けることにした。 これが最近の出来事なのだな。 とほほ。。。 約束の時間10分前 トイレもさっき済ませ、少し散らかっていた部屋も片付けた。 ガサツな人間だと思われたくないので 机の上には缶ビール二缶、アルコール度数の弱いサワーの缶が三缶。 タバコは吸うとイメージが悪いと思われるので机の上には置かずにバックの中にしまった。 服装はきちんと整ったスーツ、今日のために慣れないアイロンがけをするために 朝にショッピングモールでアイロンを買いに行った。 最近のアイロンは安いうえに、高性能であるんだなと関心をもった。 ネクタイも「正しい結び方」とネットで検索して結んだ。 髪型も普段使わない、ワックスとやらを近くのドラッグストアで買いに行き、慣れない手つきで髪型をセットした、ちなみに、私の髪質はかなり剛毛なのでハードワックスを店員さんにオススメされましたね。 約束の時間が5分前になった。 相手にいいところを見せたい、興味を持ってもらいたい。 この日のためにここまで準備してきたんだ。大丈夫。大丈夫。 長い深呼吸を一つ、緊張と不安を少しでも和らげたあと入室ボタンをクリックした。 五分前なら一人ぐらいまだ参加していない人はいるだろうと軽く思っていたが、 私以外、入室していた。 なんだが、俺が一番意識低い奴だと思われてとても恥ずかしいんだが!! まぁそんなことはどうでもいい。 私お目当ての巨乳眼鏡の子はーー、、おー。いたいた。 なんだか不思議そうな目でこっちを見ているけどしかも白衣着ているし。 医療関係の仕事でもしているのか、それにしても白衣の似合う女である。 、、 あれ、なんか私の部屋と構造似てね?まぁ、偶然か。 日本中同じような部屋なんてごまんといるだろうし、まさか、同じアパートに住んでいるなんて漫画みたいな展開はありえないだろう。 フラグかな?? 早速、オンライン合コンが始まった。 周りの勢いに合わせて話も弾んでいく、酒の力か、きっと酒の力だろう。 タバコは吸いたい。 吸いたいんだけど、話が面白くてなかなかその場から離れることができない。 いろいろな話をした。 家族のこと 健康のこと プライベートのこと 今何が楽しいか 生きててつらいことはないか、、とか。。 なんか最後らへん重くない? 部屋の中は一人だけど、画面越しに人がいることで、寂しい部屋に暖かい空気が混ざった感じがした。 楽しい。楽しい。楽しい。 酒が進んでいくうちに話が進んでいくうちに終了の時間が迫ってきた。 過ぎ去っていく時間はあっという間だった。 今度また同じメンバーで飲んでみたいな。 巨乳眼鏡ちゃんと俺以外の人は、時間の関係で抜けることになってしまった。 二人きりになった。何を話したらいいか分からなくなり頭の中がごちゃごちゃしている。 「どうしたの?」 女は優しく声をかけた。 「いやー、初めて何で緊張してしまって、、」 下に目線を逸らす。 「分かるわ、こういう形でやるのは初めてだし、私も急に回線が落ちたりしたらどうしよう!って何回も思ったわ」 うわー、共感してくれるなんて優しい人なんだろう。 「でも、あなた。なんで、今日スーツで参加したの?意識が高いのは結構だけどラフな格好な感じが私は好きだなーー。」 おいおい、初対面の異性に対して服装のバッシング受けてしまうとは とほほ。 なんて直球タイプの女なんだ。 それでもいい、なぜなら私の好みなのだから!!                   これを機にあの子ともっと距離を詰めていくぞ! そう思って、連絡を交換しようと誘いに行く間もなかった。 彼女は時間がないといい退室してしまったのだ。 「はぁ」 深いため息をして、薄いベットに飛び込んだ。 小学生じゃあるまし、 へへへ、連絡先はもらえなかったけどこんなに楽しい気持ちは久しぶりだな。 私はこのまま寝ようと思い、睡眠薬を一つ含み、机の上に置いてある水で喉に流す。 天井がタバコの色で薄い茶色でにじんでいる。古く懐かしい食堂の壁のようである。 「今日は吸わなくていいや。」 私は眠りについた。深い深い、眠りについた。 ―翌日― 朝早く起きて、シャワーを浴び、ひげをそって、この前使ったワックスを前回と同じ髪型にセットした。 暖かい日差しが部屋を照らす。窓を開けて外の空気を一息吸った。 「よし!」 勢いよく玄関のドアを開けた。 そこに待っていたのは先週の白衣を着た女だった。 ??  なんで俺の家を知っているんだ? 私はこの女がストーカなのではないかと疑問に思った。 自分の好みの女がついてくれることはとても嬉しいことなんだが、ひとまず自分の身の危険を感じて俺は部屋にある携帯電話を取って警察に連絡を、、 ?? 通話ができない。外部との連絡ができない仕掛けになっているのか。 LINEだけ開けるようになっているのか。YouTubeもTwitterもできない。 なんでこんなに規制されているのか。 LINEを開いて気づいた。 地元の友達の名前がない。 MとRの名前が見つからない。 あったのは。R-蓮司という男の名前と、M-牧野という男の名前だ。 「あのー、この蓮司と牧野って誰ですか?。。」 白衣の女に質問しても分からないだろう。 「あー。下の階にいる蓮司君と牧野君ね。 、、あー、そうか。あなたの異常な「妄想癖」で何か別人なんかと勘違いしちゃったのね。 あなた、これで何回目の妄想の世界に入ったのよ。薬の量増やさないといけないじゃない。」 妄想? 薬? この女は何を言っているのだ。 しかも、蓮司? 牧野?こいつらとLINEでやり取りした覚えはない。 トーク履歴を確認する。 唖然とした。 私:二人はどういう人がタイプ??                            僕は鎌塚先生かな、優しくて面倒見がいいし :牧野               俺は天野先生かな、経歴も長いベテラン先生! ;蓮司 私:こんな写真でどう?                 何言っているんだ、また例のあれか ;牧野       まぁまぁ、俺らには関係ないさ!ところでお前は先生誰にするんだよ :蓮司 私:えーと、俺は、、 この前と会話した内容と全然違う。 「すいません。えーと、オンライン合コンであなたも参加していましたよね? 昨日の男女三人組で」 白衣の女は少し戸惑った様子で、首を傾げた後 「はぁ、」 深いため息をついた。 「あれは、合コンじゃなくて「オンラインカウセリング」 男女三人で、事前に自分に見てもらいたい先生をメンバーで決めて参加する今年から代入した新しいカウセリング方法よ。 蓮司君と牧野君はメンバーだったのよ。 一人だけスーツで参加してきたからびっくりしたのよ。 あ、それと」 白衣の女は薬が入った小さな袋を渡して去っていた。 ここは精神病院だった。世に珍しく服は規制がなくスーツでも、私服でもなんでも可能である精神病院だった。 先ほどの白衣を着た女はここの病院で有名な巨乳眼鏡先生で患者たちにも人気らしい。 オンライン合コンなんてただの妄想か、、 現実と妄想の整理がつかない私はベットに飛び込んだ。 このままゆっくり眠ろう。そうすればいい朝が迎えれる。 瞼を閉じた瞬間、先ほどの白衣を着た女の顔が浮かんだ。 それにしてもあの女きれいだし、エロかったなー。 ぐへへ、男はまた妄想の世界に走るのだ。
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