2人が本棚に入れています
本棚に追加
〇
「お前も結局パクリじゃねぇかッ!」
「銀○魂、面白いよね。FINALは泣いたよ」
「隠せてない! 隠せてないって!」
何を言っているのか。私にはさっぱりわからない。
彼はため息をついたあと、もう一度背もたれにぐてっともたれかかった。
「でもさぁ……結局俺達の妄想通りになったとしても、どうせ俺達はチョコを手にすることはできない気がするよ……」
さりげなく彼が「俺達」と言ったことを私は聞き逃さなかったが、そこはあえて触れないでおこう。
「急にテンション下げるのやめて」
「注文が多いなぁ。おいたん悲しくなっちゃうよ……」
「あとで七十円の板チョコ買ってやる」
「傷口えぐるのやめてくれない……。ん?」
私の慈悲を聞いた瞬間、彼はなにかを思いついたかのように上体を起こし「ふっふっふ」と不敵な笑みを浮かべた。
「なんだよ。気持ち悪いな」
「いいこと思いついたのだよわしは……」
「"わし"って――」
彼の笑みの内容を問おうとした瞬間、
ピーンポーンパーンポーン。
昼休み終了の予鈴が鳴った。
〇
最初のコメントを投稿しよう!