バレンタインだからって浮かれてんじゃねぇッ!

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     〇 「お前も結局パクリじゃねぇかッ!」 「銀○魂、面白いよね。FINALは泣いたよ」 「隠せてない! 隠せてないって!」  何を言っているのか。私にはさっぱりわからない。  彼はため息をついたあと、もう一度背もたれにぐてっともたれかかった。 「でもさぁ……結局俺達の妄想通りになったとしても、どうせ俺達はチョコを手にすることはできない気がするよ……」  さりげなく彼が「俺達(・・)」と言ったことを私は聞き逃さなかったが、そこはあえて触れないでおこう。 「急にテンション下げるのやめて」 「注文が多いなぁ。おいたん悲しくなっちゃうよ……」 「あとで七十円の板チョコ買ってやる」 「傷口えぐるのやめてくれない……。ん?」  私の慈悲(じひ)を聞いた瞬間、彼はなにかを思いついたかのように上体を起こし「ふっふっふ」と不敵な笑みを浮かべた。 「なんだよ。気持ち悪いな」 「いいこと思いついたのだよわしは……」 「"わし"って――」  彼の笑みの内容を問おうとした瞬間、  ピーンポーンパーンポーン。  昼休み終了の予鈴(よれい)が鳴った。      〇
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