バレンタインだからって浮かれてんじゃねぇッ!

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     〇  翌日のことである。 「おっすー! おはようっ!」  眠気(ねむけ)がおさまらない朝の通学路。  眠気以上に嫌気(いやけ)をおぼえさせる彼が私に話しかけてきた。 「いつも遅刻してくるのになんで今日は早いんだ……」 「何言ってるんだ! 学校は遅刻しないでいくものだろう?」 「あーはいはい」 「ちゅめたいっ!」  ホント、勘弁してほしい。  あれ、デジャヴな気がする。  彼と適当に話しながら、私は道を歩いた。苦行(くぎょう)の道を経て、学校へとたどり着き、私達は昇降口へと入った。  そして、それぞれ自分の下駄箱を見つけ、それを開こうとした瞬間である。  バババッバヴァヴァヴァバババタ。  私の隣にいるアレの下駄箱から大量の……気持ち悪いほど大量の板チョコが流れ落ちてきた。 「あれれっ~おかしいぞぉ~?」 「・・・・・・」 「これはぁ~? もしかしてぇ~?」 「・・・・・・」 「チ・ョ・コ・レ・エ・ト? ってやつかなぁ~」 「・・・・・・」 「こまっちゃうなぁ~」 「・・・・・・」 「こまっちゃうなぁ……」 「・・・・・・」 「ねぇ」 「・・・・・・」 「ねぇって」  私は今、どんな表情を見せているんだろうか。(あき)れすぎてむしろ笑顔かもしれない。
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