天使達の贈り物

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天使達の贈り物

翌朝、お母さんはスッキリと目を覚ましました。 「良く寝たわ…こんなに寝たのは何年振りかしら…」 ベッドから起き上がり大きく背伸びをしてみます。 お母さんは、自分の体が驚くほどにスッキリとしている事に気付きました。 「やっぱり疲れが溜まっていたのね…無理は禁物ね。そう言えば…ラフィとシャイニーは?」 おかあさんは、昨日起こった不思議な出来事を思い出しました。 そして、病室をキョロキョロと見渡したのです。 しかし、そこにはラフィの姿もシャイニーの姿もありません。 「あれは、夢だったのかしら…」 首を傾げながら、ふとベッドを見ると枕元に虹色に輝く美しい宝石がありました。 「夢じゃなかったんだわ…」 おかあさんは、虹色の宝石を手の平に乗せ、優しく撫でました。 宝石は、朝日を浴びキラキラと嬉しく輝いています。 「ユイに素敵なお土産ができたわ。」 おかあさんは、ニコッと笑い宝石をハンカチに包むとそっとバッグにしまい、迎えにきたおじいさんと家へと向かいました。 「ただいま~。」 おかあさんが玄関に入ると、ユイが走って出迎えます。 「ママ!お帰りなさい。お熱はもう大丈夫なの?」 ユイは心配そうにおかあさんを見ています。 「ユイのおかげで下がったわ。もう大丈夫よ。」 おかあさんは笑顔で頷きました。 「ユイのおかげ?」 ユイは不思議そうに首を傾げます。 「そうよ。ユイ、こっちに来て。」 お母さんは笑顔で頷くとユイを抱き上げました。 「素敵なお土産があるのよ。あなたの部屋で見せるわね。」 お母さんは、ユイを抱いたまま部屋に向かいます。 そして、部屋の中に入ると優しくユイを下ろしました。 「お土産があるの?」 ユイの目は期待でキラキラしています。 そんなユイを見てクスクス笑いながら、お母さんは、バッグからハンカチに包まれた虹色の宝石を出しました。 「はい。これよ。」 ハンカチから宝石を出すと、ユイの手にソッと乗せます。 「わぁ~虹色の石…シャイニーみたい…」 「そうよ。シャイニーから貰った宝石よ。」 「ママ!シャイニーに会ったの?」 ユイの目が驚きで丸くなりました。 「ええ。シャイニーだけじゃないの。もう1人の天使ラフィにも会ったわ。」 ユイの目が更に目が丸くなります。 「実はね…ユイ…」 おかあさんは、昨日病院での出来事を話したのです。 「ママ!凄い!」 ユイは目を輝かせています。 「シャイニーとラフィは、とても素敵な贈り物をしてくれたわ。」 おかあさんの手には虹色の宝石が握られています。 「うん!この宝石だよね。」 ユイの言葉に、おかあさんは首を横に振りながら答えます。 「この宝石もだけど…ママが忘れていた事を思い出させてくれたの。それから…ユイとママの絆を強くしてくれたわ。」 「きずな…って何?」 ユイは首を傾げます。 「ユイには難しいわね。お互いを大切に思う、強い心の繋がりよ。分かる?」 「なんとなく分かる。」 ユイは少し考えて答えました。 「ユイは、ママが倒れて心配してくれたわ。ママを助けたいとシャイニーにお願いしたでしょ?」 「うん。凄く心配だったの。ママの体が熱かったし、お熱が下がらないって聞いたから…ユイ…ママを助けたい…そう思ったの。」 「ありがとう。それが絆よ。ママを大切に思ってくれているユイの気持ちが絆。」 「そっか~それなら分かる!ユイ、ママが大好きだもん。」 「ユイ…ママもユイが大好きよ。」 おかあさんは、ユイをギュッと抱き締めました。 おかあさんの目には涙が光っています。 (ラフィ、シャイニーありがとう。2人は、私達に素敵な贈り物をくれた…沢山の人が天使の存在を感じてくれますように…) そんな2人をシャイニーとラフィは、そっと見守っていました。 「ラフィ様…ユイちゃんとお母さんは、もう淋しくないでしょうか?」 「そうだね…もう大丈夫だと思うよ。2人の絆はとても強いものだしね。それでも、時には淋しくなる時があると思うんだ。その時はシャイニー…君の出番だ。」 「はい。ラフィ様。その時は、僕はまた2人に会いに来ます。」 「そうだね。今回の一件は2人にとって忘れられない出来事にらなっただろうね。僕達天使の存在を間近で感じたし…」 ラフィは優しい眼差しで、ユイとお母さんを見つめます。 「ラフィ様…僕にとっても忘れられない出来事になりました。初めて人間の感情に触れ、人間が心に抱える悲しみや淋しさを知りました。でも…人間の感情は、それだけではない…優しさや思いやりに溢れています。僕は人間が大好きになりました。」 「シャイニー…君は人間の感情を知り少しだけ成長したようだね。人間は、沢山の苦しみを乗り越えながら一生懸命に生きているんだ。僕達天使は、そんな人間を支えサポートするんだ。人間は、もっと楽に生きる事が出来る…だけど、それを知らない場合が殆どなんだ。」 「そうなんですね…僕はもっと、人間の支えになりたいです。そして、沢山の人間に天使の存在を知ってもらいたいです。」 「シャイニー、その為には君はもっと沢山の経験と学びが必要なんだよ。」 ラフィは、シャイニーの頭を撫でながら言いました。 「沢山の経験をし、学べばラフィ様のような天使になれますか?」 シャイニーは、目をキラキラと輝かせラフィを見上げます。 「さあ?どうかな?それには、沢山の努力が必要だよ。」 「僕、沢山努力します。そして、ラフィ様のように素晴らしい天使になります。」 「あはは。それは楽しみだ。」 ラフィはニコニコ笑いながら答えました。 (シャイニー…君は素晴らしい天使に成長するだろう…僕よりもずっと聡明で愛に溢れた天使になるはずだ…) ラフィは、シャイニーに大きな可能性を見出していました。 そして、この可能性が暗い世の中となってしまった人間界を救うだろうと感じていたのです。 (でも、今はまだ沢山の学びが必要だ。それまではシャイニー…僕が君の側に寄り添い成長を見守ろう…) ラフィは、心の中でそっと呟きました。 「では、シャイニー…そろそろ帰ろうか?」 「はい!ラフィ様。」 2人は笑顔でフワリと舞い上がりました。 「カオリ…またね。君が僕達に会いたいと思えば、いつでも会えるよ…」 「ユイちゃん…また来るからね。そのまま変わらず、優しくて素直なユイちゃんでいてね…」 シャイニーとラフィは振り返りながら呟きました。 そして、2人はバサッと一度大きく羽ばたくと天界を目指し飛んでいきました。 ユイとお母さんは、大きな羽音に気付き顔を上げました。 2人は、慌てて窓辺に駆け寄ります。 空を見上げると、優雅に羽ばたき青空高く舞い上がるシャイニーとラフィの姿が見えました。 「シャイニー、ラフィまたね~」 ユイはシャイニーとラフィに手を振ります。 すると、シャイニーとラフィは振り返り、ユイとお母さんに手を振りました。 そして、更に空高く舞い上がり消えていきました。 「シャイニー、ラフィ…またね…」 お母さんは、青空を見上げ小さく呟きました。 すると、空から何かがヒラヒラと降ってきたのです。 お母さんが手を伸ばすと、それは手の平に吸い寄せられるように落ちました。 美しい白い大きな羽と、その羽より小さく虹色に輝く羽でした。 「あ!また羽だ…」 ユイは2枚の羽を見比べます。 「ママ、大きさが違うね。」 「大きな羽がラフィで、虹色の羽がシャイニーの羽ね。天使の国に帰る前に私達にプレゼントしてくれたのね。」 「ママ。シャイニーとラフィはユイ達にたくさんプレゼントしてくれたね。」 「そうね。ユイ…」 ユイとお母さんは、どこまでも続く青空を見上げながらシャイニーとラフィの羽を握りしめるのでした。 おわり
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