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「……チカ」
泣いてんの? なんて茶化すのも違うかなって思ったから、オレは震えるからだごと、ぎゅうぎゅうをやりかえしてやった。
「誕生日おめでと、チカ」
星児さんと奏音さんにヒューヒューってからかわれながらも、チカはそれからしばらくオレの隣にぴったりくっついて離れなくなった。
いつもと違う誕生日の夜は、友達想いのチカには特別な日になっただろうし、オレのほうも、大好きなカフェで、尊敬する先輩とその恋人と、チカの誕生日とふたりのこれからを祝福されてめちゃくちゃにうれしかった。オレたちには入籍も結婚式もないけれど、もしかして、そういうたぐいのお祝いのつもりだったのかなって、あとから気づいたりもした。チカのほうは、きっと最初からその意図がわかってたんだろう。
無論、オレはそんなつもりじゃなかった、なんて言わない。一緒に暮らすってそういうことだ。もうずっと離さないでいるって、そういうことだ。だからこそ、オレはあのとき待ってもらったわけだし。
気恥ずかしいけど、オレも今度、ヒロトと万奈に打ち明けようかと思う。きっと手放しで喜んでくれるはずだから。
こんな気持ちになれることを知ったのは、チカと出会ったから。
ねえチカ、知ってる?
オレだって、全部チカのおかげだって思ってんだよ。
☆ ☆ ☆
このサプライズパーティーの翌月、チカとオレは無事新居に引っ越した。タイムライン∞カフェから目と鼻の先にある小さなアパートの一室だけれど、ここからまた新しいオレたちの日々が始まるんだって思ったら、無性にワクワクした。
新しい住処の居心地は、控えめにいって「最高」。
だって想像できる? 寝ても起きてもいつでもチカがそばにいるんだから。
そんなの最強じゃん?
了

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