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静かな空間というわけでもないのに、周囲に響くひどく落ち着いた声。
誰もが声の持ち主に注目した。
「え、嘘、、」
「きゃっ」
そう漏らしたのは誰だっただろうか。
人によっては顔を赤く染め、熱っぽい視線を送るものまで
要するに、大歓迎ムード。
でも、俺はとてつもなく嫌な予感がした。
だって、この声はあの人の、、、
トントントン。
確実に近づいてきている足音。、、まずい
焦る気持ちだけが募っていく。さっきとは別の意味での危機に顔をあげることができなかった
俺を囲む奴らも彼の姿に目を留めた、と思ったらだんだん慌て始めた
「おい、なんであいつがいるんだよ」
「しらねぇよっ!!」
「とにかくずらかるぞ」
「、、だれが逃げるって?」
『ヒッ』
『申し訳ありませんっ。風紀委員長!』
全員揃ってきっちり90度の礼。
ヤメロ。
君らが頭下げたら、俺が丸見えじゃん。
ジトーっとした視線から逃げるように、ひたすら顔を背き続けた
そう。
爽やかな笑みを顔に浮かべ、ゆっくりと佇む姿はまるで王子のよう、、、だと囁かれている彼は
この学園の風紀委員長様
今日もその微笑みはご健在。と言いたいところだが、目は見るものを凍らせられるんじゃないかと思うほど冷え切っている。多分北極より寒いって。
聞いたことのないような低い声に、俺まで悲鳴をあげそうになった。
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