夏休みは もうすぐ 2

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「うん。相当、蓮様のことが好きだよ」 「そうか……。それは、またややこしくなりそうだな」  いつ来るともしれない門脇目当てに、めでたく(?)敦もこれから理科室に通うメンツ入りするのだろう。  理不尽で良からぬことを企てるよりは遥かにましだとは思うが、知己は肩の荷がずぅんっと重くなるのを感じた。 「だね。敦ちゃん、お臍が359度曲がった愛情表現しかしないから」 「すごい曲がり方だな」  ついでに章の語彙力に、眉間を押さえていると 「せんせー、お久しぶり! 元気?!」  門脇のやや後方から、声がかかった。 「御前崎……」  意外な人物だった。 「夏休みでしょ。先生が暇しているだろうからって門脇君が遊び行くって言うんで、私も一緒について来ちゃった」 「だから、教師は夏休み……ついでに言うなら冬休みも春休みも仕事だって言ってんのに……」  世間の認識に知己は頭を抱えていた傍ら、男子高校生3人が門脇の同行者を見て、ざわついた。 「誰?」 「巨乳……」 「美人!」 「俺の方が可愛い」 (ミス慶秀大にケンカ売るなよ、敦……) 「……外野からなんか聞こえたけど、ま、いっか」  特に気にせず、御前崎美羽は軽く流していたが、 「あああああ! なにげにこの女! 蓮様の腕に手を絡めている!」  一番傍に居た俊也が見咎めた。  いつの間にか、俊也も「蓮様」呼ばわりだが、この際気にするのはよそうと知己は思った。  今、気にするべきは (どういうことだ?)  門脇の後ろに隠れるようにいたので気付かなかったが、確かに門脇の肘辺りに美羽の手が添えられていることだ。 (門脇と一緒に遊びに来る……。門脇と腕を組む……。もしや、これは……!?) 「しかも巨乳だから、胸を蓮様にぐいぐい押し当てて『おい、当たっているぞ』『当ててんのよ』みたいにしている!」  俊也は勉強以外ずいぶんと熱心に学んでいるようだなとも知己は思った。 「何?! 蓮様を誘惑しているのか?!」 「ちょ、何!? この子達! べ、別にそんなつもりじゃ……!」  赤くなって美羽は、慌てて門脇から離れた。 (この子達にも見透かされる分かりやすい作戦なのに、門脇君は全然動じていない……。なりふり構わずに決行した作戦は、失敗に終わったようだわ)  美羽はバストの大きさをむしろ気にしている。だが 「男子は大体おっぱい星人」  という菊池の謎のアドバイスを受け、今日のこの機会に不本意ながらも門脇に仕掛けてみたのだが。
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