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「でしょ?」
美羽としては、あわよくばこの機会に門脇にもっと近付き、本当に彼氏になってもらえたらと願っている。それもあって、門脇に頼んだ。
もちろん門脇は高校時代からの友人である御前崎美羽の頼みを快く引き受けた。それだけでも、美羽にとっては嬉しかった。
「おかげでストーカーっぽい人も激減。助かっちゃってる」
「良かったな」
「うん……」
少し照れながらも、美羽は花のような笑顔を見せた。
知己は少なからず美羽の恋を応援していた。美羽の笑顔に
(本当に、この二人。付き合えばいいのに)
と思う。
ミスに輝く美少女の微笑みは、見るものすべてを虜にするような笑顔だったが、ここに居並ぶ者は少々異質だったのが厄介だった。
「やっぱり演技だったか」
おとなしく美羽の話を聞いていた章が口を挟んだ。
言葉の刺々しさに、空気が一変する。
「何よ」
美羽が笑顔曇らせ、章を睨んだ。
「生憎と蓮様に巨乳はマイナス要素」
「え? そうなの?」
「蓮様は胸の大きさで人を好きにならない」
「はあ?」
「むしろ、ない方が好き」
畳みかけるような章と俊也と攻撃に、知己は焦りを覚えた。
「おい、お前ら……」
止めようとする知己を制して
「もしかして……微乳派なの?」
美羽が哀しい目をして尋ねた。
(なんだ?! このカオスな門脇の性的嗜好談義は……?!)
「微乳というより、胸の大きさで人を好きにならない。蓮様は見てくれで人を判断しない。人間性に惹かれるんだ。ですよね? 蓮様」
妙に確信得ている章に
「どういうこと? なんでこの子達、門脇君のことをこんなに熟知してんの? 訳知りなの?」
戸惑いながら、美羽は尋ねた。
「俺も知らん」
門脇が無表情に答えた。
「ちょっと、君たち。その話、もう少し詳しく!」
美羽は食い下がった。
章達の返事は、詳しくの欠片もなかった。
「蓮様は、先生が好き」
単刀直入過ぎるくらいに言い放つ。
「は?!」
美羽は思わず隣の門脇に真剣なまなざしを向けた。
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