夏休みは もうすぐ 2

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「釘に五徳に蝋燭……美羽ちゃん、今はやりのDIY女子かな? っと思ったんですが」 (違います?)  と、微妙な視線で卿子が言えば、 「違うと思います」  知己は即座に答えた。 「御前崎の言ってた用事って、買い物だったのか?」  門脇が重ねて言うと 「だから、違うってば!」  知己はやっぱり否定した。 「どう考えても、丑の刻参りグッズだろ?」  横から敦が言った。絶妙に門脇に殴られない距離で。  発言内容も微妙だったので、門脇は敦との間合いを詰めなかった。 「女の子って、おまじないが好きだもんね」  章が答える。 「おまじないのレベルか?」  知己が冷汗をかきながら言う。 「大きく括ったら、おまじない。違う?」  と章が言うが 「ベクトルが真逆過ぎだろ」  敦が突っ込んだ。 「でも、それ、こうして言った時点で効力発揮しないんじゃ?」  と俊也が言った。 (なんでこいつら、丑の刻参りに詳しいんだよ?!)  わちゃわちゃと始まった三人の丑の刻参り談議を後目に 「よく分からんが、俺、呪われたくない。門脇、全速力で御前崎を追え」  知己は玄関を指さした。 「a(c)(えーかっこしー)が自己保全に回った瞬間を、高校生は見た」 「うるさいな、敦。  御前崎はきっと駅前のホームセンターに居るだろうから、門脇。早く行け」 「……ちっ」  門脇は渋々、来賓スリッパを自分の愛用のスニーカーに履き替えると、ホームセンターへの道を急いだ。
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