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「えーっと、後は……バスト? 胸が有ったら完璧なのにとか、『男子校で何言っているの、お兄さん?』的発言があった気がする……んぐぐぐ」
「礼ちゃーん! 僕、今夜、命の危機に瀕しているから。もう、お仕置きどころじゃなくなっているから。プラマイ0どころか、マイナスになってるから!」
どんどん冴えてくる知己の殺意の眼光に、心底怯えながら将之は礼の口を塞いだ。
「礼ちゃん、いい子だ。もっと教えろ」
「んー! んー! んー!」
礼が口塞ぐ将之の手を指さしてアピールすると
「もっともだな。
将之。もう十分すぎるほど、お前の評価はマイナス。ストップ安状態。もはや下がりようがないから、その手をどけろ」
知己が睨みつけながら命令する。
「うっ……」
その威嚇に負け、渋々将之が手を離すと礼は深呼吸をした。
「礼ちゃん。頼むからもうその辺で……」
小さい声で両手合わせて頼んでみたが、礼は
「ええっと、あとはね……」
将之ばりに空気を読まずに会話を続けた。
将之がゲストルームに礼を通した。
「お前、宗孝が泊りに来た時にここを使わせてくれなかったくせに」
将之の家は8LDKであるが、住んでいる人間は二人。当然、使っていない部屋の方が多い。
「ここは元・礼ちゃんの部屋ですから。あんなガキに使わせませんよ」
すまして将之が答えた。
「ああ、そうかい。意地悪お兄ちゃん」
「なんか言いました?」
いそいそとベッドに掃除機をかけていたので、聞き逃したようだ。
「何にも。たいしたこと言ってない」
知己の話もろくに聞かずに、将之は収納庫より客布団を引っ張りだしてきた。
「連絡くれてたら、準備していたのに」
てきぱきとベッドメイクを進める将之が言うと
「サプライズ。お兄さんを驚かせたかったの」
クスクスと礼はいたずらっぽく笑った。
(実際には、俺と礼ちゃん本人のサプライズになっちゃったけど)
ゲストルームで繰り広げられる仲良し兄妹の後ろ姿を見つめながら、全裸見られた恥ずかしい光景を知己は思い出していた。
【平野知己の甥っ子・宗孝5歳の話は「後・教育ノススメ。」にあります。】
https://estar.jp/novels/25333614/viewer?page=106
【挿絵をあげてみました】
https://estar.jp/novels/25306033/viewer?page=53
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