夏休みが来た 7

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「あ、あはは」  気まずそうに俊也は乾いた笑いを浮かべ、知己から目だけを反らした。 「俊也。会った時に、なぜかすごく機嫌良かったからな」 「聞いたら『課題ももう済んだ』とか、『先生に会った』とか言うんだもん。『レポートのネタももらった』って言ってたし。ずるいよ。  だのに先生は僕らの居ること分かっている筈なのに、ここには来ないから、これはもう待ち伏せるしかないよね? ってなって」  嬉々としてつらつらと語る章の話を聞きながら、知己は黙って俊也を見つめる。  知己の責める視線に耐えられずに、俊也が 「あ、あの。ごめん。だって、でも、仕方なかったんだ」  しどろもどろになりつつ謝った。 「お前とは、もう口きかない」  約束を遂行しようとする知己に 「あっ。でも、俺、LIN○は送ってないからな」  俊也が食い下がる。 「そうだよ。先生。俊ちゃんは直接口を割ったんだ。だから責めないであげて」  章がフォローにならないフォローを入れた。 「なお、悪いじゃねえか」 (まあ、俊也には、こいつら相手に黙っておくことは難しいよな)  正直、当てにはしていなかった。  LIN●送らなかっただけ、俊也にしては上出来かもしれない。 (ん? 俊也から話を聞いていたのなら……)  知己は察した。  「じゃあ、お前ら。礼ちゃんのこと『妹』だと分かってて、『デート』とか揶揄ったのか?」 「そうだよー」  きゃっきゃきゃっきゃと笑う章と敦に目もくれず 「な、言った通り悪いだろ?」  知己が礼に話を振った。  礼は「ほんとだー」と頷いた。 「で、こちらが先生をパシリにしているというスーパー美人の妹さん……」  改めて、礼を物色するかのように章達は眺めた。  む、となりつつ、章達の不躾な視線から礼を背中に庇う。 「なんで、俺がパシリになったんだ?」 「俊ちゃんが、先生は妹さんに『焼きそばパンくらい買って来なさいよ』って言われてたって」 「……俊也」 (また、こいつかよ)  視線で文句を言えば 「なんだよ、嘘言ってねえよ! 洗いざらい見たまんま聞いたまんましか喋ってねえよ」  俊也は懸命に弁明した。 「洗いざらい喋ってんのが、悪いんだろ!」 「あ、そっか」  俊也はやっと分かったようだ。
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