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「告白は、礼ちゃんにだよ」
礼の目をまっすぐに見つめて、言う。
「ええええええ?!」
「俺、好きなんだ」
「ええええええええええええええええええええええええええ?!」
礼が真っ赤になって、膝の枕を持ち上げると、あらん限りの力でぎゅうと抱きしめた。
「ちょ、それ、待っ……! 心の準備が! きゃあぁぁ」
思ったよりも礼に喜んでもらえているような気がする。
(そうだよな。一昨日の夜に、礼ちゃんは将之の幸せも願ってくれてたし。
良かった……。思い切って言って良かった……)
知己は、照れくささと恥ずかしさにたどたどしく、だけど礼に分かってほしくて真剣に言葉を紡いだ。
「会って、……その、出会いは思い出したくもないくらい最悪だったけど。でも一緒に居たら楽しくて……。いつの間にか、かけがえのない人になっていたと気付いた。それで、ずっと一緒に居たくなって、俺が頼んで……。
結果、今も一緒に居るわけなんだけど」
「ちょ、待っ! ちょ、待っ! ちょ、待っ! ちょ、待ぁっ!!!」
礼が「ちょま、ちょま」を繰り返しつつ、ぎゅぎゅぎゅぎゅ~っと興奮した細腕で枕を締めあげる。
枕が破裂寸前なのが気になったが、
「俺、本当に将之が好きなんだ」
と知己は言い切った。
「ちょ、待ぁ……………………………は?」
そこで礼が知己を見つめたまま固まった。
おかげで、枕は助かった。
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