★過ぎ去った夏 2

3/5

242人が本棚に入れています
本棚に追加
/778ページ
 将之は知己の膝を胸に着くほどに深くゆっくりと折り曲げる。 「ん……」  自然と肩甲骨と肩の部分だけがマットに沈み、腰から緩やかに浮いた姿勢になった。  そこでベッドマットと知己の間に、将之は自分の足を差し入れた。  たやすく腰を下ろせないように固定されると、知己の頬にかぁっと朱が挿した。 「あんま、……見んな……」  真昼間に寝室に連れ込まれ、今、自分が将之にどんな姿を晒しているか。こんな屈辱的なポーズを取らされても、甘んじて受け入れてしまう。知己は羞恥を感じるだけでなく、期待している自分を持て余し、つい否定の言葉を罵るように吐いてしまう。 「今更ですね。何回、ここ見せたと思ってんですか?」 「分かってるけど……、あっ……!」  将之は、晒された男を受け入れる部分に指を這わせ、軽く押し広げる。 「んんんっ……!」  乾いたそこは、当然、肉の弾力で将之の指を押し返した。 「将之。も、早く……」  触られると、猶更、そこを余すことなく晒しているのだと思い知らされる。将之の眼下に晒される行為の終わりを求めて知己は急かしたが、将之の方は 「嬉しいことを言ってくれますね」  何か勘違いしたようだ。  将之は、ナイトテーブルの引き出しからローションを取り出した。 「先輩も余裕ないみたいだし、早々に準備させてもらいますよ」  ローションを指にまとわせると、すかさずさっきまで頑なだった部分に押し当てた。  こうなるともはや抵抗できない。 「ん……、ぅ……」  2年もの同居のおかげで身に染みた慣れた行為は、こんな時どうすれば苦しさを軽減できるのかを知っていた。 「ふ……う、ぅ……っ」  指の動きに合わせて、呼吸で圧迫感を逃していた。  今度は慎ましやかに開き、そこは将之の指を緩やかに、だけど少しずつ確実に飲み込み始めた。
/778ページ

最初のコメントを投稿しよう!

242人が本棚に入れています
本棚に追加