文化祭バトル勃発 1

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「で、今年は何にする?」 「だから、俺に聞くな」  絶対に章は知己を巻き込もうと思っているらしく、幾度となく話を振ってくる。 (魂胆見え見えだ)  もう、無視して明日の授業の準備を進めようと知己は思った。 「文化祭……か。蓮様、来ないかな?」  文化祭だと、いつもより外部の者が簡単に出入りできる。  ましてや知己も居るのだ。  門脇蓮が来るのでは……と、章達は密かに期待を膨らませている。 (あれだけ殴られてて、よく、まだそんなことが言えるな)  章達のリスペクトっぷりに、知己は呆れ気味だ。 「ねえ、先生。蓮様、来ないのー!?」  しつこく話を振ってくる章を無視し続ける知己を横目で見つつ、敦が 「俺な……。文化祭の出し物、ちょっと考えたんだけど」  と話を戻した。 「敦ちゃん?」  去年、企画制作当日すべて逆皆勤賞の少年が、今年はずいぶんと乗り気のようだ。 (どういう風の吹き回しだ?)  気になって、やはり会話に耳だけはそばだててしまう。 「『ミスコン』開催は、どうかな?」 「「はあ?」」  章と俊也が叫び、知己も心の中で (何、考えてんだ? こいつ)  とツッコんだ。 「夏に蓮様が連れてきた巨乳のねーちゃんを思い出した。んで、思いついた」 (本当にこいつは、ろくでもないことばかり思いつくな) 「あの、敦ちゃん? うちのガッコのこと、分かってる? 八旗(ヤンキー)高校だよ? 女子なんて居ないよ」  章が言うと、かぶせ気味に 「女子なんて来ないぞ」  去年、邪な気持ちでフランクフルト屋を推して玉砕した俊也も言った。
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