文化祭バトル勃発 1

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「分かってる。だから、面白いんじゃないか」 「意味分かんね!」  俊也が言う向かいで、章が 「あ、分かった。……『女装』だ」  と呟いた。 「ピンポーン! 大正解!」  敦が天使が邪気を孕んで笑ったらこんな顔になるんだろうなと思わせる笑顔を見せた。 「クラスのむくつけき男子生徒を女装させて、爆笑さらおうってことだね? すごい! 面白そうだよ、敦ちゃん!」 「だろ? もっと褒めていいぞ、章」  敦の提案を皮切りに、一気に話は盛り上がった。 「いいね! いいね! 優勝者にはなんか賞品だしたりなんかしたら、更に盛り上がるんじゃね?」 「だったら、いっそのこと八旗高校学校あげてのコンテストにしようよ」 「誰が優勝するかを投票か何かで予想してもらうってのも、面白くね?」 「俊ちゃん、それ……」  章と敦が二人、親指立てて 「「いいねー!」」  声を揃えて同意していた。 (三人で勝手に盛り上がっているが……こいつら、確か文化祭役員じゃなかったよな?)  だが、敦が言えば通るんだろう。 「生徒だけじゃなく、先生も参加できるようにしたらどうかな?」 (だったら、優勝は卿子さんだな。ミスコン……いいかも) 「ね、先生!」  と章に話しかけられ 「え?」  その時に初めて三人の期待に満ちた視線に気付いた。 「まさか、……………………俺か?」  敦達の意図に気付いた途端、ガッシャーンと派手な音を立てて、知己は明日の実験道具をコンテナごと落とした。 「おぅい、大丈夫か?」  俊也が声をかける。 「ドジっ子教師かよ。ちっとも萌えねえ」  敦は冷ややかに笑っている。そんな中、章だけが慌てて知己の傍に駆け付けた。 「あぁ。もう、先生! 何やってんの? 怪我はない?」  言っていることが、すっかり知己のおかん化している。  そして、せっせと落ちたコンテナの中身を呆然としている知己の代わりに拾い始めた。 「あ、ああ。すまん。びっくりして、手を滑らしてしまった。割れ物はなかったから大丈夫だ」
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