文化祭バトル勃発 1

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 その章の作戦が功を奏したのだろう。  次に知己が準備室から出てきたときの第一声は、 「敦! 参加させてもらおう!」  だった。 「……マジか?」  あれほど頑なに不参加を言い張っていた知己の変わりよう。  俊也は驚き、敦は喜んだ。 「章、でかした! 一体、担任に何を吹き込んだ?」 「敦、お前『授業の三分の一は休んでもいい』と懲りずに、週に1日は休んでいるんだってな?」  章の代わりに知己が答えた。 「な!?」 「週休三日、ストレス軽減とか言って、勝手に一人働き方改革しているんだと?」  知己の片手には出席簿が握られている。 (やばい。『週休三日制勝手に導入』がバレた)  夏休み以降、敦の顔をちょくちょく見るようになった。  それで「今日も学校に来ている」と安心し、「頑張っているな」と思っていたくらいだ。  まさか知己の授業のある日以外は定期的に休んでいるとは知らず、先ほど出席簿を確認して、驚愕の事実を知ったのだ。 「学校は週5日もあるわけで1日休んでも残りを出れば5分の4も出ることになるから、出席日数は足りる計算なんだって?」 「あう……」  思わず、変な声で肯定してしまった。 「お前はまたそんなことして、本当に体調崩して休まなくちゃならない時はどうすんだ!」  知己に怒鳴り飛ばされて、思わず肩をすくめた敦は 「章! 何故、バラした!?」  情報源の章に抗議するかのように問いただした。 「だって、敦ちゃんは、先生をミスコンに引っ張り出したかったんでしょ?」 「そうだけどっ」 「俺が勝った場合、副賞は敦!」  知己が敦を指さした。 「きゃあ! 敦ちゃん良かったねぇ!」  章が頬染めて喜んだ。敦も真っ赤になって 「な、何?!」  戸惑いの表情を浮かべた。 「敦、お前の文化祭以降の皆勤を要求する」 「うぎゃー! 何、それ!? 横暴だ! 俺、体、弱いのに?!」  とはいえ、計画的に週に1度休みを増やすくらいだ。どこまで本当に具合が悪いのか、怪しいものだ。 「病気・その他やむをえない理由で欠席の場合のみ認めてやる。その場合、病院の領収書で病欠にする。また家庭の事情の場合も同様に親・もしくは同等の者に一筆書いてもらうことを条件に休ませてやる」 「ぎゃー! まさかのこいつからの上から目線語り? 許せん! 絶対に俺が勝つ!」  敦も門脇と同様、教師の高圧的な物言いにアレルギーを持つようだ。  こうして、梅木敦と平野知己の女装ミスコン出場が決まった。  
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