文化祭バトル勃発 2

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 文化祭は金、土の2日間に渡って繰り広げられる。  初日にエントリーを募り、その場で素顔を撮影。そのまま、本人立ち合いのもとポスター作製、掲示。2日目に体育館11時から開催・女装を披露。その後投票と集約。15時には結果発表という流れだ。  文化祭実行委員会は敦に押し切られた形で、体育館の使用許可を下ろした。 「……敦は強敵ですから、正直、どんな手で来るか分からない」  敦は自分と知己の出場を知って、エントリーが減ることを予想した。それで圧力をかけたのだ。  各クラス、代表1名は出すように―――――と。  八旗高校は一学年3クラスで構成されているので、少なくとも9名が出場することになった。事実上、クラス対抗戦になり、なんだかんだとお祭り好きの勝負好きが騒ぎ出して、文化祭ミスコンで密かに勝利を狙っている。いろんな憶測や予想が飛び交い、意外にも始まる前から盛り上がっているようだ。 (敦の圧力、恐ろし……)  眉間に皺を寄せて考え込んでいると 「平野先生ったら、なんで、そんな負け腰なんですか? ダメですよ! 『戦う前から負けること考えるヤツがいるか』と偉い人も言ってました」  知己怯んでいると勘違いし、卿子が激励した。 (誰だろ? クーベルタン? 「参加することに意味がある」だったような気がするが)  と知己が聞いていると 「それ、『元気ですか、だぁっしゃー!』の偉い人ですね」  クロードは知っていたようだ。 「まあ、クロード先生は物知りなんですね」 「……む」  なにげに卿子の中でクロードの株が上がっている気がする。さっきから面白くない。 「と、当然……、俺だって負けることなんて考えていませんよ」  慌てて、無駄に恰好つけてみた。 (というか、本当に敦のズル休みは何とかしたいんだよなー) 「絶対に負けられない戦いなんです」  さらに格好つけてみたら 「あ、W杯の言葉ですね」  卿子の受けが良かった。 (と、いうか……卿子さんがめちゃくちゃ乗り気なのも、怖いんだけど)  前任校でも知己の女装を面白がっていた傾向があったし、ノリは良かった。だけどこの張り切りよう。ただ事ではない。  普段は大人の対応をしているが、もしかしたら、春先のことを実は根に持っているのかもしれない。 (あいつら、めちゃくちゃ誠意ない謝り方してたからな)  ……「一矢報いたい」とか言ってたし。
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