文化祭バトル勃発 2

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「じゃあ、じゃあ、文化祭まで後一週間だし、衣装やメイクは、放課後理科室で相談しましょ」  卿子がウキウキと言う。  よほど、今回のことが楽しみなようだ。 「だったら、今週は章達に来るなって言わなきゃいけないな」  きっと、ぷいぷい文句を言われるだろうが、こちらの手の内を見せるわけにいかない。  章達も文化祭に向けての準備がある。  今ならきっと理科室に来なくとも、悪いことはしないだろう。 「賛成です。Ms.坪根だけでなく、私も行きます」 (え? クロードも?)  思わずクロードの顔を見たら 「だって、とりあえず男女が、ほとんど人の来ない特別教室棟の密室で二人きりはまずいでしょ?」  と言われた。 「それもそうか……。じゃあ、クロードも来てくれ」  卿子のために、妙な誤解は避けたい。  そう思っていたが、卿子の方は 「あら。そのご心配でしたら無用です。私と平野先生じゃ、変な噂も立ちませんから」  サクっと「火のない所に煙は立たぬ」的に切り捨てた。 「それよりもクロード先生の作戦もぜひ聞きたいわ。一緒に作戦会議開きましょう!」  クロードの手を両手で包むように掴むと、きゃあきゃあと盛り上がる卿子に 「Ms.坪根。それNGワード」  クロードがツッコミを入れた。 「え?」 「今の言葉で、知己のやる気が半減しました」 「うっそ。どうして?」  卿子には何がNGだったのか、分からなかったようだ。 「どうしてでしょうね……。なんかもう、全てがどうでもよくなってきました」  こんなやるせない思いを、とても卿子に説明する気にもなれずに、知己はため息を吐いた。 「やだ! 溜息なんか吐いたら幸せ逃げちゃうんですよ。ホラ、やる気出して、平野先生。打倒・敦君ですよー!」  慌てて宥めるものの、知己はなかなか浮上できなかった。  ……と、いうことで文化祭一週間前。  その日のHRで知己より、生徒の理科室立ち入り禁止が告げられた。
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