文化祭バトル勃発 3

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「どちらをご指名します?」 「どちらも遠慮します!」  いくら卿子の申し出でも、今回ばかりは押し切られるわけにはいかない。   「じゃあ、せめて凹凸つけるために胸にパットでも詰めますか?」 「はあ!?」 (鬼か?!)  知己はクロードを睨んだ。  コロンコロンと取り出された緩やかな半円形の物体が数枚。 「ひぃっ……!」  今度は、顔を真っ青に目は白黒させて知己が悲鳴を上げた。 「いや、マジそれ、勘弁してください!」 「あ、泣いちゃダメですよ。マスカラが流れちゃうから」  卿子に涙目を指摘された。  だが、泣きたくもなる。 「ちょっと、それ、ヤっちゃうと男の尊厳が……!」  度重なる女性のマジックアイテムに、知己がヨロリとふらついて一歩後ずさった。 「今更、何、言ってんだか。女装OKした段階で、男の尊厳も何もないでしょ?」  クロードからの真っ当な意見が出た。 「平野先生、乗りかかった船ですよー!」  勢いづいた卿子が、知己に迫り、むいっと襟元を広げた。 (卿子さんに……! まさかこんな形で剝かれようとは……)  坪根卿子に知己(自分)が剥かれる―――。 (できるなら、剥く側になりたい……)  夢見なかったと言えば、嘘になる。  いや、今そんな悠長なことを考えている場合ではない。  現れた自分のまっ平な胸に、知己の羞恥バロメーターは完全に振り切った。  あまりのことに現実を直視できず 「嫌だぁーーーーー!」  知己は胸元を押さえて、理科室を脱兎のごとく飛び出してしまった。
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