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文化祭バトル勃発 4
文化祭初日。
ミスコンを主催する2年3組教室には、予定通り、各クラス代表1名の参加者がそろった。
参加者は受付で名簿を作成が済むと、次にポスター撮影用に作った教室の一角・暗幕エリアに案内された。その場で素の姿を写真撮影されて、クラスと名前が入ったポスターがA3サイズで作成・印刷され、掲示板に張り出される。
当初、梅木敦以外は渋々のエントリーだとは思われたが、「各クラス代表1名」の敦の提案が功を奏し、ちょっとしたクラスマッチ気分で、生徒たちはそれなりに楽しんでいるようだ。しかも、文化祭役員から各クラスに支給される予算5千円以内であれば景品も特別にOKとなり、優勝者には「美味い棒1年分」とトロフィーが用意された。金額的にたいしたものでもないのだが、景品が付くとなればやる気も違う。
「誰がこの景品を考えたんだ?」
職員代表としてエントリーし、ポスター撮影を終えた知己が不思議に思って、受付担当の章に聞いたら
「俊ちゃん」
ということだった。
「欲しい?」
「欲しくはないが……優勝は狙いたいな」
ポスターの掲示に勤しむ敦を見ながら、珍しく知己が強気な発言を繰り出した。それに気付いた敦が
「それは俺のセリフだ。俺が優勝して、あんたが嫌がることをひとつ、絶対に言う事聞かせてやるからな」
不敵な笑顔で応じた。
「敦ちゃん、頑張ってー!」
章の応援を受けて、俄然やる気を見せた敦だったが
「敦ちゃんが優勝したら、先生に一日博物館かどこかへ連れて行ってもらおうねー!」
と聞いて、
「なんだ、それは。俺はこいつにそんなとこ連れて行って欲しくねーよ」
ツーンと横を向いてしまった。
「そっか。そうだよね」
そこで少し章が考えて
「博物館は夏に行ったばかりだもんね。じゃあ、今度は美術館か水族館がいいかな?」
と真面目に聞くと
「いや、場所の問題じゃねーし」
敦がすこぶる嫌そうにしていた。
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