文化祭バトル勃発 5

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「それにしても、先生達もなかなかの大荷物だね」  クロード達の荷物を見て、章が言う。 「小道具を大きくして、俺の身長をカバーする作戦なんだと」 「その辺はサポートに丸投げ」 「悪意ある言い方すんな」  知己が章を諫めていると、 「先生たちは、いつも身長の話ばっかしているんだな」  投票用紙を貰いに訪れた文化祭の見学者に声をかけられた。 「あ。門脇……来たのか」  門脇だけではない。 「……坪根先生、その節はどうも」  今回は美羽の他に、近藤大奈、菊池も揃っていた。  メンツがメンツなだけに、知己の顔が曇る。 「え……。先生、もしかしてと思ってたけど……やっぱミスコンに参加すんのか?」  門脇が戸惑いがちに尋ねる。  期待されているような気がして、素直に頷きたくはなかった。  だが、目の前の掲示板に堂々とポスターが貼ってある。エントリーしたことは隠しようもない。 「きゃー! 蓮様! 文化祭に来ると思ってましたー!」  長机がなかったらまたもや突進して、ぶっ叩かれていたであろう章が歓喜の声をあげた。 「蓮様……」  敦の頬にぽぅっと赤味がさす。俊也は門脇に一番殴られている為か、条件反射で長机の下に隠れていた。 「……俊ちゃん。そんな所で避難訓練してないで、お仕事してね」  素に戻った章が突っ込んだ。 「わあ、美羽ちゃん。それと菊池君に近藤ちゃんも久しぶり!」  卿子が懐かしいメンバーに喜んだ。 「お久しぶりです」  と大奈が挨拶する傍ら、 「先生たち、揃って異動になったのか。すげえ偶然だな」  と菊池が純粋に驚いていた。 「本当に。こんな偶然ってあるのかよ?」  門脇が忌々し気にクロードを睨み付ける。 「何の疑惑をかけられているのかは知りませんが、私は一介の教師に過ぎません。人事に何の権限もありませんよ。教師は駒ですから。大方、玉突きで異動なんでしょ?」  目で殺せそうなほどの門脇に対して平然と答えるクロード。 「どうだか?」  だが、門脇の疑惑は消えていないようだ。 (とても本当のことを、クロードに教えられないな)  まさか敦達のゲームが原因で、心を痛めた英語教師が異動希望出した結果だなんて、言えるわけがない。  なんとなく、敦、章、俊也とも目が合った。  おそらく3人とも同じことを考えているのだろう。
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