文化祭バトル勃発 5

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「そだ。あんた、さ」 「何よ」  敦が突然、美羽に話しかけた。 「ミス慶秀大だったよな。あんたなら特別席で見学させてやってもいいよ」 「え? 何、それ」 「一般の見学者は体育館フロアで見るけど、あんただったらゲストとして申し分ない。体育館ステージ脇に特別席を今から作らせる。そこで見学させてやるよ」 「なんか上から目線がむかつく」  先ほどよりは幾分好意的な物言いになったが、敦の態度を素直に喜べない。 「あんたの友達も……ステージ近くの席を用意させる。悪い話じゃないと思うけど?」 (は、はーん。さては……)  章が敦の思惑に気付いた。 (蓮様は、このお姉ちゃんのボディガードだもんな。お姉ちゃんの傍から離れない蓮様に、自分のビューちフォーな姿を近くで見てもらいたいんだな) 「な、なんだよ」  敦が章の意味ありげな視線に怯んでいると (敦ちゃん、可愛いとこあるんだから……)  章はニンマリと笑顔で応えた。 「いいじゃん、美羽。面白そうだし、特等席で見せてもらおうよ」  大奈が喜ぶと、菊池も 「賛成!」  と手を挙げて同意した。やや遅れて門脇も 「……賛成」  と言った。 (近い所で、先生を見られる……。最高じゃねえか!)  そこには大いなる下心があったが、それは美羽には分からなかった。 (え? 門脇君も?)  夏に敦達とのやり取りを経験して、その人となりはなんとなく理解していた。決して純粋な善意で言っていないだろうと推測できるが。 (用心深い門脇君がOKなら、心配はいらないかな?)  大奈達も賛成している。  敦の態度の急変は怪しいが、断る理由もない。 (ステージ脇で座って見るくらいなら) 「確かに面白そうだし、特等席で見れるのはいいかもね」  と承諾した。  章も体育館脇の時計を見た。 「じゃあ、そろそろ僕も行くね。司会の仕事しなくっちゃ」  ミスコン開催時間が迫っている。 「ああ。手伝ってくれてありがとな、章」 「どういたしましてー」  章は笑顔で俊也に手を振った。
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