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文化祭バトル勃発 6
【11:00】
八旗高校には演劇部もなければ、吹奏楽部もなく、当然合唱部もなかった。
男子だらけの八旗高校では、文化部の部員は数えるほど。実質機能していたのは美術部とパソコン部くらいだった。その上、合唱、合奏、演劇でクラス出店する所もない。例年なら、個人的にバンド組んでいる者がここぞとばかりにこぞって無料で発表できると、体育館でのライブを申し込んでいたが、それを全て12時以降15時までに移していた。
前半5組が舞台袖に控えていた。
そこに吹山章が学ランではなくスーツに着替え、司会としてステージに立っていた。
「皆様、お待たせしましたー!」
2階観客席にも設置されたスポットライトで、章に照明を当てている。
演台には、幾重にも作ったループの紅白リボンを付けたマイクが備え付けられていた。
ステージの先端にはフットライト。
体育館舞台袖には音響係とカーテン係、演技終了時間を知らせるブザー係。
(本当にこいつら、こういうことは一生懸命するんだよな)
あまりの本格的なステージに、知己は感心するを通り越して呆れていた。
今回の文化祭で、何度思ったことだろう。
(これだけ一生懸命勉強してくれれば……)
(ん?)
ステージの端の折り畳み椅子には、特別ゲストのミス慶秀大・御前崎美羽が緊張した面持ちでちょこんと座っている。
(御前崎……? なんで、あんなとこに?)
そのステージの下の暗がりには、なぜか門脇達も陣取っている。
なかなか異様な風景だ。
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