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「で? まだあるのか?」
知己に聞かれてももはや黙るだけになった俊也達に対し、卿子が
「あ、あります」
我慢できずに口を挟んだ。
「坪根先生……」
「この子達が話さないんだったら、私が話してもいいですか? いいですよね? さっきそう言ってましたよね?」
そう言いつつも卿子の目には、みるみる涙が溜まっていった。
よほど悔しかったのだろう。
怖かったのだろう。
「そうですね。須々木たちはよっぽど自分たちで言いたくないことをしたようですし」
知己が俊也達を睨んだ。
「でも、坪根先生はそれを話しても平気なんですか?」
「平気じゃないです、あんなこと! でも、平野先生には真実を伝えたいんです」
卿子は俯き、あの時と同じようにぐっとスカートを握りしめた。
「実は、あの後……先生が来てくれる直前だったんですが……」
「はい、はーい。もういいよ。おっしまーい」
それまで無言だった章が卿子の言葉を遮った。
「僕たちの負けー」
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