文化祭バトル勃発 6

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 エントリーナンバー3番は、黒光りするショートパンツにロングブーツのSMチックなコスチュームに身を包み、黒髪ロングストレートヘア。そして、鞭を持って現れた。 「こんなところで女装した女王様は、どこのどいつだーい?」 「あたしだよー!」  突然 「ア゛ーーーーーーーーっ!」  と叫んだ後に、なぜか逆立ちをして 「戌神家!」  のポーズを決めた。  4番は白い長髪を三つ編みにして、青いドレスを着て、歌い踊った。 「♪ありのーままのー姿見せるのよー♪」  彼(?)が歌い、腕を伸ばすとサポートスタッフがそのタイミングで白い紙吹雪を飛ばす。  映画「どんな雪の女王」のシーンを完コピしていた。  謎のシャアアアアアアという吹雪の効果音、ピキーン、パリパリ……と凍り付く音が絶妙に笑いを誘った。  大爆笑に包まれる体育館に、知己は (どうしよう。俺、全然ダメかも……)  と震えあがっていた。  同じく、ステージの端の美羽は (一体、私は何を見せられているんだろ?  いや、これ、めちゃくちゃ面白いけど……。なんか私、ここに居る意味あるのかな? むしろ居なくてもいいんじゃないかな?)  と、「ミスコン」と言いつつも、なぜか宴会芸のオンパレードに場違いなものを感じていた。  その末に (俺の) (私の) ((存在って、何だろ……?))  と自分の存在意義に疑問を持ち始めていた。 「さあ! いよいよ次は教師代表、我らが平野知己先生の出番だー!」  ハードルを上げるような紹介をする章を、忌々しくさえ思う。  体育館の二階席右側方向からヤジが上がった。 「おいおい、なんで教師がしゃしゃり出てんだ?」 「文化祭って生徒のお祭りだろ? 目立ちたがりなおっさん教師だな!」 「ひっこめー、出てくんな! おっさんの不細工な女装ー!」  悪意丸出しで、ゲラゲラと嗤って囃し立てた。  門脇が、騒ぎ立てる男たちをギロリと見る。 (……よし。今、言った奴らの顔は覚えた。後でぶっ飛ばそう)  と思っていると 「今、文句たれたヤツ……」  章がマイクを通して、静かに語り掛けた。 「じゃなかった、文句をたれたお客様。これは2年3組の出し物なんです。担任が出るのもOKだし、これは文化祭運営委員会、校長も認めてのことです。むしろ文句を言う君たちが、しゃしゃり出てくんな、ひっこめー! です」  真剣な章の淡々としたトークに、これまでのお祭り騒ぎが一気に冷え、静まり返った。
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