文化祭バトル勃発 6

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(まじ、綺麗ー! 平野先生、いつリストラに遭っても平気ね。この道で食べていけるわ!)  不届きなことを思いつつ、美羽は知己の動きを目で追っていた。その下の門脇に至っては 「菊池。ちゃんと録画しているな?」  と確認した。  自分は肉眼で知己の姿を楽しみたいので、携帯での録画は菊池に任せていた。 (俺の一生の宝物だ!  念のため、PCにも落としておこう。  バックアップでDVDに焼いておこう。  スクショ撮って、携帯の待ち受けにしよう。  それから、それから……)  門脇の夢(?)は広がった。 (家永先生が研究室から俺を追い出そうとしたときには、この映像をチラ見せして、俺が居られるように取引を持ち掛けよう)    知己のアピールタイムが終わった瞬間、静まってた体育館に、まるで爆発でも起こったかのように、わぁぁ……っと歓声と拍手が湧き上がった。  二階席でヤジを飛ばした男たちも、はじめはシラけた顔で見ていたがさっきのことをなかったことにして周りと一緒になって騒いでいる。  どこからか、「アンコール」の声さえ聞こえ始めた。 (え? アンコール? やばい。俺、他には何も用意してない……)  知己は「アンコール」の声に一瞬で頭が真っ白になってしまった。ステージのその場で棒立ちになり、ケソケソとした視線が右や左に泳いで、卿子やクロードに助けを求めた。 「アピールタイムですので、アンコールは受け付けておりません。どうか、ご静粛に! アンコールは、ありませんってばー!」  眉根を寄せて困った顔しているが、満面の笑顔で章が止めていた。  こうして、知己のアピールタイムは本人の不安をよそに、大成功に終わったのだった。  ただ一人、 「……嘘だ。嘘だと言ってくれ……」  俊也だけはブツブツと「嘘だ、嘘だ」を繰り返し、現実から目を背けていたが。
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