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文化祭バトル勃発 7
【12:05】
「いやー、想像してたよりもずっと面白かったなぁ。ミスコン」
「絶対にキモグロなコンテストになると思ってたのに、意外にもネタばっかりで笑えたよなぁ」
体育館から出てきた観客が、口々に感想を言い合う。
「でもさー。俺、前の方に居たんだけど、和田の静電撃くらって痛かった」
「それ、な。
後、超迷惑だったのは『セーラー服と機関銃』だよな。何が『カ イ カ ン !』だよ。いきなり機関銃ぶっぱなすんだもんな」
「いや、あれ、空砲だったじゃん」
「でも、びびったし」
「シンデレラやったとこも、マジ受ける。靴のサイズ30㎝って、確かにあいつしか履けんだろっての!」
「で、誰に入れる?」
いきなり核心に触れた。
「当然、敦様だろ」
「確かに、敦様美しかったしな……」
エントリーナンバー10番、ミスコンのトリを務めるのは梅木敦だった。赤いタータンチェックのアイドル風ワンピース、栗色の髪の毛を緩くねじったハーフアップにし、元々の美少女顔なのにプロのメイクを施されたことで、どこからどこを見ても16歳の少女にしか見えない。その姿で、ハヤリのアイドル曲を歌い、キュンダンスを披露。
ドライアイスの煙を焚いての派手な演出に、知己は
「俺のヴェールをどうこう言えるレベルじゃねえ」
と、思わず呟いていた。
煙の炊き過ぎで、ステージ上の敦が見えなくなるハプニングがあったが、どうやらそれも計算の内で、次に敦が現れた時にはミニのプリーツスカートのセーラー服の美少女に変身していた。
「早着替えですね。サポートスタッフの力もあるでしょう」
クロードが冷静に分析する。
おそらく、先ほどのワンピースの下に着ていたと思われた。
華奢な敦だからこその芸当だろう。
オーソドックスなセーラー服に黒ソックスで、今度は縄跳びダンスを踊り出した。
これには女子率0%の八旗高校生が狂喜乱舞した。
(もうすぐ三十のおっさんに、これはできまい。男は、JK原点のセーラー服が好きなんだよ)
目論見通りの反応を得られ、敦がニヤリと心の中で悪い笑顔になっていた。
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