文化祭バトル勃発 7

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「ん……?」  門脇の睨む相手を見止め、俊也も声を出した。 「どうしたの、俊ちゃん」 「蓮様のロックオンしてる人。俺、どこかで……見たことある気がする」 「何? その、めっちゃ中途半端な記憶」 「うーん。どこでだっけ? もしかして、うちに来てた……のか? 親父のとこに来てたような?」  腕を組んで必死で思い出そうとしているが、はっきりとは思い出せないようだ。  俊也の発言に、章の方が食いついた。 「俊ちゃんのお父さんに会いにって……。じゃあ、梅ノ木グループ傘下のレストラン部門関係者ってこと?」 「いや。分からん。うろ覚えもいいとこだし」 「俊ちゃん、記憶力ないもんねー」 「うん。そうだな。あの、蓮様……!」  おもむろに俊也が門脇を真剣な顔で呼んだ。 「蓮様?!」 「なんで、門脇。蓮様なんて呼ばれてんだ?」  美羽は夏休みに知っていたが、近藤大奈と菊池周人が驚きの声を上げた。 「蓮様が締めるべき相手は、章です。ぜひ、本気で絞めちゃってください。きっと章も本望です」  周りが驚き、どん引く空気を気にせずに、俊也は不穏なことを口にした。 「俊ちゃん、卑劣な手段を。僕が蓮様になら絞められてもいいってのを知ってて。避けられない攻撃。ああ、どうしよう」  赤くなった頬に両手を沿え、くねくねと妙な動きをする章に 「うっわー、どMだ」 「キっっっっっっっっっっっっモ!」  美羽たちが、さらにどどんと引いた。 「……って、ふざけている場合じゃないな」  章が呟くと (本気にしか見えなかった)  その場にいる誰もが思っていた。   「あいつらが梅ノ木グループ傘下の者なら、先生に罵声を浴びせた裏には敦ちゃんが居るってことかな」 「え?」 「例年しょぼい八旗の文化祭に、普段の10倍の人数ってのも変だった。もしかするとほとんどがサクラなのかも」 「それって、敦の差し金か?」  俊也が訊くと、知己が 「まさか。敦は誰よりも不正を嫌う男だろ?」  章に確認するように言った。 「甘いよ、先生」 「え? 違うのか?」 「敦ちゃんはズルは大嫌いだけど、それ以上に負けるのはもっと嫌いなんだ」 (もしかして、俺は将之以上の面倒なヤツと関わっているのかもしれないな……)  女装姿で、知己は長い睫毛を伏せた。
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