文化祭バトル勃発 7

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 門脇達4人がそれぞれ投票用紙を取り出し、名前を書こうとした時だった。 「ん? この投票用紙……」  門脇が異変に気付いた。 「蓮様、どうかしましたか?」  すぐそばに待機していた投票係の俊也が聞きつけた。 「俺の……御前崎達のと形がちょっと違うんだが」  門脇が自分の持つ投票用紙を見せた。 「あ、本当だ。角落としに失敗したのが混ざっていたのかな?」  門脇の投票用紙は、不正防止策の角が一つ落ちていない、四角いものだった。 「すみません。こちらをどうぞ」  俊也は、とりあえず自分が持っていた正式な投票用紙と交換した。  その後、 「……」  門脇や美羽達の投票を、ただただぼんやりと見つめていた。 「どうした? お前は投票しないのか?」  俊也の様子が気になった門脇が訊くと 「投票……したかった人が居なくなってしまいました」  はあ……とため息交じりに俊也が答える。  本当は、知己に投票するつもりだった。  知己がミスコンにエントリーした理由を知っている。  だが、知己がラノさんであると分かった途端、投票する気が失せてしまった。 (ラノさん……)  裏切られた気持ちもあって、素直に知己に投票したくない。  いっそのこと敦に投票しようかとも思ったが、それもどうかと迷う。  かと言って、他の出演者にも投票する気など毛頭起きない。  この際、誰にも加担しないのもありだと思った。 (どうせ、俺の投票用紙は蓮様に渡しちまったし……。ちょうど良かったのかもな)  門脇達は、校舎内の展示に行ってしまった。  投票箱の周りもいまだ賑やかだったが、なんだか俊也は自分だけが取り残されているような疎外感でいっぱいだった。
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