文化祭バトル勃発 8

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「俺の要求は、ただ一つ……」  ノリのいい効果音係が、そこでドラムロールを再び流した。  ダラララララララ…………、ダン! 「俺様に逆らわず、これからずーっと俺のいう事を聞くこと」  美少女にとても似合わぬ笑顔で敦が言った。 「はあ?」  美羽が驚き 「小学生か?」  大奈が突っ込んだ。 「よし。ぶん殴ってくる」  門脇が腕まくりをしたので 「門脇、やめてぇー!」  菊池は門脇を羽交い絞めのようにして取り押さえた。  ステージ下では何やら門脇と菊池がバタバタ暴れているようだが、 (敦の要求する事って……どんなことだろ?)  知己は少し考えてみた。 (どうせ自主週休3日制を認めろとか、休んでも理由を聞くなとかとやかく言うな……みたいなもんだろ?)  まあ、めちゃくちゃなお願いをするとは思えないが。 (あ、でも「教師は理科室来るな」だと困るな……)  特別教室棟に生徒だけで入りびたらせるのは、さすがにまずい。  知己が(まずい。どうしたものか)と一人悶々と考えていると 「はいはーい。敦ちゃんが馬鹿な要求を口にしたところで、誰も気にしなかった今回のミスコンの特別ルールをご紹介しまーす!」  突然、章がマイク片手に喋り出した。  特別ルール?  そんなのあったっけ?  誰もが初耳のような顔をしている。  今の今までそんなものが存在したとは、章以外誰も知らないのだ。 「なんだ。その後出しじゃんけんみたいなのは」  敦が、モロ「ふざけんなよ。そんなの通用するか」的な態度で言うと 「後出しでも何でもないよ」  平然と章が参加要項の用紙を取り出した。 「ほら、ここ」  と、指さす。 「ここに1pt文字サイズで、ちゃーんと書いてあるよ」  章は暗黒微笑を浮かべていた。 「1pt?!」  敦はすかさず携帯を取り出し、カメラを起動。そこでめいっぱい拡大して読んだ。 「確かに……書いてある」  1ptなんて、ほぼ点線と同じだ。10.5ptの文章の中に書かれていては、重要な文章の下線だと思って、誰も気にも留めていなかった。 「『要項がすべて』……だったよね?  保険の証書も取説もそう。小さい文字ほどよく読んでおけって大人が言ってたよ。知らないの? 敦ちゃん」  したり顔で章が言えば 「狡いぞ、章!」  と敦は罵った。 「言っとくけど、敦ちゃんにだけは言われたくないからね」  誰もが (ダヨネー!)  と章に賛同した。
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