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『特別ルール。1枚ラッキー投票用紙があります。その投票用紙で投票された人は、票数が10倍になります』
「ドラゴン●ールかよ! カ●王拳かよ!」
敦が突っ込めば
「敦ちゃん。好きだったもんね、ドラゴン●ール……」
うんうんと章が頷きつつも、軽くいなした。
「さて、そのラッキー投票用紙だけど……。
『ラッキー投票用紙は角を落としていません。またその角に☆マークが付いています。』
と、いうことで投票係のみなさーん! 角のあるラッキー投票用紙を探してくださーい!」
簡単だ。
一角を落としている正式投票用紙に混じっている四角いラッキー投票用紙。
不正用紙の弾き方と一緒で、投票用紙を全て重ねてみたら、すぐに見つかるはず。
「ふうん。なるほど。一発逆転のゲーム性を盛り込んだ投票か」
「面白いこと考えるな、吹山」
敦のやり方を見ていたら、誰もが章を応援したくなっているようだ。
「ふふふ、世論は僕の味方だね」
「世の中狭いな!」
テンパった敦が謎のツッコミをした。
だが、全てに置いてきぼりを食らわされている知己だけは
(確かに、文化祭って枠の世界の世論だもんな……)
と自分の立場を忘れて、敦のツッコミに一人頷いていた。
「だが、まだ分からんぞ。その投票用紙をもらった人物が俺に投票しているかもしれないし、他の奴に投票したかもしれないし。章、この屁理屈教師にピンポイントで投票されなくちゃ、無理だ。逆転の目は少ない。くっくっく……」
誰に頼まれているという訳でもないのに、すっかり悪役っぽく振舞うのが病みつきになっている敦だった。
10倍になると、知己の逆転になる。
というか知己しか逆転できない。
その他は10倍になっても、まったく怖くない票数だ。
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