文化祭バトル勃発 8

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「ふふっ、それを運任せにすると思う?」 「あぁ?」 「もちろん、抜かりなーし!」 (絶対に先生の名前を書く人物に渡したもんね)  章はちらりと門脇を見て、どさくさに紛れてウィンクをした。  敏感に察した美羽が 「あの子、なんなの!? 生意気!」  ステージ端で、カッとなって拳を握りしめる。 「ん?」  章の視線に気付いた門脇が 「もしかして、俺の投票用紙か……?」  菊池を殴る手をとめて、考えた。  そういえば、章からもらった投票用紙の角に☆マークがあった気がする。 「つり目野郎に渡したぞ」 「え? 待って。どうして、俊ちゃんに……?」  つり目=俊也。  思ってもみなかった門脇の行動に、章は焦燥を隠し切れない。 「俺の投票用紙、みんなのと違うって言ったら、親切に自分の分と取り換えてくれた」 「嘘っ! 俊ちゃん……?」  思わず俊也を探してみた。  慌てる章に、 「ふふふ。正に『策に溺死』状態だな、章」  聞きかじった言葉で敦があざ笑う。 「それを言うなら『策に溺れた』だね、敦ちゃん。なんとなく知っているだけで使うと恥ずかしい目に遭うよ」  今が、まさにその恥ずかしい時である。 「うるさいな。だって今、死に体状態の章には、ピッタリだろ! 大体、受験の時もそうだったけど、蓮様は意外に頭良いっていうのを忘れていたのが、そもそものお前の敗因だ」  敦がドラマかアニメの敵感滲ませて、勝ち誇っていると 「……お前、後でマジ殴る」  門脇が再び腕まくりをし始めた。 「え? 蓮様、どうして?」  敦としては褒めているつもりだったのだろう。ナチュラルな失言に気付いていない。  不本意ながら、唇に手を当ててフルフルと怯える敦は超絶可愛かったため、さすがの門脇も脅した罪悪感がほんのちょっぴりだけど芽生えた。
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