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「と・に・か・く! 俊也はラノさんとかいうそこの屁理屈教師にショック受けて、『投票なんて、もう、どうでもいい』って言ってたんだ。んで『どうでもいいなら、俺に入れろ』と言ったら『そうだな、敦に入れよ……かな……』って言ってたぞ」
敦は校舎内の人に『最後のお願い』を一通り終わらせて、体育館前に戻ってきた。
その時、傷心の俊也に会い、話を聞いたついでに投票のお願いをしたのだ。
「おーい、投票係! 俺の票の分をしっかり探せ。ま、2千票も集まったから探すのは大変かも……だけど、俺のに混じっている可能性が高いからな!」
ちょっと自慢を混ぜて敦が投票係に声をかけた。
章は仕込んだ逆転の一手を攫われ、珍しく狼狽えていた。
「マジ? 俊ちゃーん? まさか、敦ちゃんに入れたのー?」
俊也は敦に合わせて適当に言っただけなのかもしれない。もしかして無効票だからと捨てたかもしれない。
(どっちにしろ、先生に投票してくれてなかったらアウトー!)
探せど探せど、肝心の俊也は居なかった。
どうやら、体育館自体に居ないようだ。
知己の姿を見るのが辛くて、発表に来ていないのかもしれない。
「ぷー、クスクス。『要項が全て』だったな。章の下らん小細工のおかげで、俺の票数は24110……になるわけだ」
「ツッシー?! 誰、それ?! ここでまさかのラノさん以上に謎の人物登場!?」
たまらず章が叫んだ時だった。
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