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放課後―――。
理科室に来た章達に「生徒立ち入り禁止」を言い渡すと、予想通りの猛反発を食らった。
「横暴教師! 『ちょっとなら理科室に来てもいい』って言ったくせに!」
まず、敦が先制口撃に出た。
(こいつ、そんなに理科室に来たかったのか? そうは見えなかったが)
これまでの事を棚に上げての猛攻だ。
(大体、それを言ったのは章にだったと思うが、なぜ敦に言ったことになっているんだ……?)
多分、それを指摘すると敦は今の10倍の言い返してくるので、あえて言わない。
「今回ばかりはさすがに僕も敦ちゃんの味方するぞ!」
(今まで敵に回ってたんだ?)
これも面倒なので、言わない。
「平野先生、横暴! 敦ちゃんの言う通りー!」
章が味方に付くと分かると、ますます敦は横柄な態度に出た。
「俺達はボランティア精神で、大掃除や片付けをしてあげているのに、来るなとは酷い。横暴だぞ、理不尽教師!」
この間から、「屁理屈教師」だの「横暴教師」だの「理不尽教師」だの、どんどん知己の肩書が増えていく。
(いや。テスト前で実験もしていないんだが……)
実験をしていないのであれば、片付けもない。むろん、夏休み以降大掃除もしていない。
敦達は、ただの時間つぶしで喋りに来ているだけなのだ。
「あのな、お前ら。普通、テスト一週間前くらいは早めに家に帰って勉強するもんだろ? お前らもそうしろって言ってる」
面倒な言い争いだけは避け、知己は本題だけを口にした。
「けっ! 生憎と誰かさんのおかげであんまり休まなく……いや、休めなくなったからな。改めて家で勉強しなくても分かるっつーの」
梅木敦。
……来れば来たで、面倒になる男だ。
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