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「……は? 何を言って……」
唐突な質問に一瞬の間を置いて否定しようとした章と
「……ビンゴ。なんで分かった?」
同じように一瞬考えて、でもうっかり答えてしまった俊也が同じタイミングで肯定した。
同時にされた否定と肯定。
正しいのは、どちらかと考えるまでもなかった。
「バカ俊ーっ!」
今や懐かしの瞬間湯沸かし器状態。
真っ赤になって章が、瞬時に俊也を諫めたのだ。
慌てて口を押える俊也だったが、俊也を諫めた章の行動だって俊也の言ったことを肯定している。
真っ赤になって慌てる章が、やっと16歳の顔になったような気がした。
(なーんとなく、吹山の言った「教師、政治家、警官はメディアの大好物」って言葉が引っかかったんだよな……。まさか、当たっていたとは)
3分の1を見事引き当てた知己の頭の中には、前の学校で理科室をよりどころにしていた男子生徒がいた。
そこで、知己が思いつくままに疑問を口にする。
「家に帰っても誰も居ないのか?」
「俊ー!」
「することないから、ここで遊びたいのか? 時間つぶしたいのか?」
「とととと、俊也ーーー!!」
「なんで、いちいち俺の所為にするんだよ?」
「お前の所為だろ!」
章がテンパってしまい、聞かれたことに対して知己の頭上を通り越して腕を押さえる俊也を怒鳴りつけていた。
「吹山……」
知己はひどく憐れんだ顔をして、
「少しなら……残ってもいいぞ。なんならお前も明日の授業の準備でも手伝っていくか? こんなくだらないこと考えて、俺を追い出したいくらい暇なんだろ?」
と提案した。
その知己の態度がますます気に入らない章が
「誰がそんなことしたいって言ったかよ!?」
えいっとばかりに知己の下着に手をかける。
「おい。お前、何を……」
これには、さすがに残念なほど男に脱がされ慣れている知己も狼狽えた。
「男かどうか確認しようと思ってたんだ。せっかくだから、中身も見ておこうかってね」
「ばか! やめろ!」
明らかに色々と痛い所を指摘された腹いせだった。
「いいねー!」
背後の俊也が、軽いノリで章を煽った。
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