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「一番赤点取りそうな俊也に、『ラノさんに会わせてやる』と言えば、さすがにあいつも勉強するだろ?」
(そっか。それなりにこいつらも俊也を心配して……)
だが、それで俊也は果たして勉強するのだろうか?
(傷口に塩を塗りこんでないか?)
言ってる間に、章がLINEを送っていた。
「俊ちゃん、勉強頑張るって」
(マジか、俊也……。中身が俺でもいいのか?)
「んーっとね、このままじゃ気持ちの整理がつかないから告白して玉砕して終わりたいんだって。どんだけMなんだか……」
(俺、告白されるの……?)
なんだろう。なんだか無性に泣きたい気持ちになってきた。
「あ、じゃあ、僕も頑張って学年一位に返り咲くから、それでどう? ラノさん再来」
知己が嫌そうな顔をしてたので、章がさらに条件を提案した。
「そうだね。仮にもミスコン優勝のラノさん再来が学校中に知れ渡ると、騒ぎになるかもだから」
優勝に、軽く「仮」が付いた。
混沌の結末だと章も分かってのことだろう。
「期末終わって、成績結果出て……12月24日の2学期終業式の放課後、ここでラノさんになってあげてよ。そして、すぱっと一刀両断にしてやって」
章達の友情は優しいのだか、手厳しいのか、微妙なラインをたどっている。
「煮え切らん奴だな。こんだけ整えてやってんだ。いい加減、『うん』と言ったらどうだ?」
最後は敦が圧をかけてきた。
(……だから、こいつらを説得するの嫌だったんだ……!)
結局、敦達に押し切られ、知己は俊也も含む三人の赤点回避+章の学年一位返り咲きを条件に、女装することを約束させられた。
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