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「で、何らって?」
知己は、改めてもう一度将之に聞き返した。
「ラノさんに会いたいな……って」
苦笑いを浮かべつつ、将之はおかわり入れたおちょこをテーブルに置いた。
受け取る知己の手にそっと将之が手を添え、礼と同じように上目遣いでおねだりモードに入った。
こうなると、もはや部下がラノさんに会いたいのか、将之が女装知己を見たいのか。
だが、知己の方は、たやすくぽぽぽぽぽーんと酔っただけではなく、頬は赤く染まった。
(おや? 先輩がチョロくなっている)
オクトパシー効果で、知己がますます赤くなって、ふにゃんと笑った。
(あ、可愛い)
「お、お前がそう言うんなら……。着てやらないんれも、ないんらからね!」
(あ、なぜかツンデレ風だ)
「でもランスは、おろらないろー」
「ランス……槍? あ、ダンスか。それはいいです」
「じゃあ、またクローロからロレス借りなきゃ……」
「なんで、ここであいつの名前が?」
イラリとして将之が訊くと
「らって、ロレスはクローロが調達しているんらったららららー」
もはや日本語かどうか怪しい言語で知己は答えた。
「ちっ。……あいつに借りを作るのは、やだな」
忌々し気な呟きを知己が拾い
「んー……らったら、そうらな。24日の放課後の理科室れ借りる約束しておるから、そのまんま家まれ借りていいか、聞いてみよっかなぁ」
「約束しておるんですか?」
だんだん時代も怪しい人になってきた。
しかし、これはどう捉えたらいいのだろう。
(この人は、また……何の余興で女装する羽目になったのか?)
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