文化祭の余波 3

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「で、何らって?」  知己は、改めてもう一度将之に聞き返した。 「ラノさんに会いたいな……って」  苦笑いを浮かべつつ、将之はおかわり入れたおちょこをテーブルに置いた。  受け取る知己の手にそっと将之が手を添え、礼と同じように上目遣いでおねだりモードに入った。  こうなると、もはや部下がラノさんに会いたいのか、将之が女装知己を見たいのか。  だが、知己の方は、たやすくぽぽぽぽぽーんと酔っただけではなく、頬は赤く染まった。 (おや? 先輩がチョロくなっている)  オクトパシー効果で、知己がますます赤くなって、ふにゃんと笑った。 (あ、可愛い) 「お、お前がそう言うんなら……。着てやらないん()も、ないんらからね!」 (あ、なぜかツンデレ風だ) 「でも()ンスは、お()らない()ー」 「ランス……槍? あ、ダンスか。それはいいです」 「じゃあ、またクロー()から()レス借りなきゃ……」 「なんで、ここであいつの名前が?」  イラリとして将之が訊くと 「()って、()レスはクロー()が調達しているんらったららららー」  もはや日本語かどうか怪しい言語で知己は答えた。 「ちっ。……あいつに借りを作るのは、やだな」  忌々し気な呟きを知己が拾い 「んー……らったら、そうらな。24日の放課後の理科室れ借りる約束してるから、そのまんま家まれ借りていいか、聞いてみよっかなぁ」 「約束してるんですか?」  だんだん時代も怪しい人になってきた。  しかし、これはどう捉えたらいいのだろう。 (この人は、また……何の余興で女装する羽目になったのか?)
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