文化祭の余波 3

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 知己が好んでしたのではないことは確実だ。  それは送ってくれた写真の微妙な表情を見ても分かる。  天地が逆さになってもそれはない。 「そもそも、なんでミスコンに参加したんです?」  酔っ払いレベルがかなり上がっている知己が、これまで言いたがらなかった学校事情を思いのほかつるっと、かつ、ゆるっと口をした。 「んー。ツッシーがな、特によく理由もなく学校を休むんらよ。らから俺がツッシーに勝ったら、ちゃんと学校来るって約束しやがるもんらから。……まあ、つまりは成り行きで」  こんなに簡単に動機を喋るのなら、警察はかつ丼ではなくお酒を用意すると仕事も楽になるのでは……と思われるレベルの口の割り様だった。 「結果は?」 「謎の優勝」 「何が謎なんですか? 当然の結果でしょ?」 「いや、マジで10倍近い票数で絶対に負けたと思ってたのら」 「10倍? なぜ、それで勝てるんです?」 「それは、ずっこいミスコン要項が発動されたかららららら」 「なんかが多いんですが」 「気にすんならら。おかわりーなのららら」  上機嫌で、おかわりねだる知己に「はいはい」と将之は立ち上がった。 「熱燗が空になっちゃったんで、今からちょっと作り直します。待っててくださいね」  と言い残してキッチンに向かう。 (正直、先輩の女装は見たい。だけど、クロードが絡んでいるなら話は別だ。できるなら、あいつとは関わらないでいてほしい)  理由は簡単。  将之はクロードが大嫌いである。 「先輩、さっきの話ですが」  カウンターの向こうから話しかけた。
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